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ー空間ー106
その和也の提案に一番最初に反応したのは望だ。
多分、望の場合には別にお腹空いてるという事ではないのであろう。 ただ、雄介との久しぶりの再会に照れ臭くて、きっと和也の提案に反応したのかもしれない。
四人はターミナル内を歩き始める。 先に歩き始めたのは和也と裕実の方だ。
和也と裕実カップルの方は人目を気にせず、こう腕を組んでまで歩いている。 だが雄介と望の方は流石に人前ではそういう事はしない。 きっと雄介の方はやってみたいと思っているのだが、望が拒否するのは分かっているのだからやらない方がいいと思っているからだろう。 しかも少しばかり雄介と望の間には間もある。
そんな二人に和也の方はため息を吐く。
せっかく二人を合わせる事までしたのに、今の二人はそんなに楽しくなさそうだ。
どうしたらまた望と雄介が前のように話せるようになるのかと悩む所だ。
和也は先に歩いていると店の前で足を止める。
「ここでいいか?」
「あ、ああ、そうだな」
和也のその問いにまた答えたのは望だ。
望たちは和也が選んだお店の中へと入って行く。
中に入って店員さんに案内されて席へと着く。
流石にとも思ったのか、こういう時は素直に望は雄介の隣に座っていた。
「ほな、望……何する?」
そう言い、雄介は自分の側にあったメニュー表を取って二冊しかないメニュー表を望の前で開くのだ。
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