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ー空間ー108
「望さんって……恋人の前では表情とか言葉とか色々と変わるんですね。 ほら、僕なんかは病院での望さんしか見てなかったですから、こういうのが新鮮っていうのか、望さんってそういう一面もあるんだなって思いましてね」
裕実の言葉を聞いて、望は一瞬で顔を赤くする。
確かに裕実の言う通りなのかもしれない。 望は裕実の前ではこんな姿を見せたことがないという事だ。
病院では、仕事中は真面目なのだから、こうクールな感じがするのかもしれないのだが、プライベートではこうも自分を出しているのかもしれない。 それを裕実に指摘されて、そのまま過ぎて顔を赤くさせてしまったのであろう。
「でも、この二人は前からそんな感じだぜ。 あれがきっと素の望なんだろうな」
和也の方も裕実の今の言葉に便乗するかのように、裕実に二人の関係を口にする。
「え? あ! ちょ、俺はいつもと変わらないって思ってるんだけど……」
その言葉に和也はクスリとしていた。
「嘘をつけー!! 動揺して言葉が詰まるじゃねぇか」
流石に和也の言葉が当たり過ぎて、望は言い返せなくなってしまっていた。
「ほらな……それが事実だろ?」
本当に和也は人の心を読むことに関しては流石だ。 今日の望は和也に押されっぱなしのような気がする。 いや、いつもだろう。 こうも和也の方が口が上手いというのか、絶対に望は和也より上に行けたことは無いような気がする。
丁度、会話が切れた所で雄介が口を開く。
「ま、とりあえず……俺達の事は置いておいてやな。 和也達の方はどうなん? さっきからずっと手を繋いどるみたいなんやけど」
仕返しとばかりに雄介はそこの所を突っ込み始める。
「それに、二人がカップルになったのは俺が帰った後やったんやろ? せやから、俺、二人の事知らんしな」
そう言う雄介に対して、今度、その事について真っ先に答えたのは望だ。
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