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ー空間ー119
望は「ま、いっか……」とでも思ったのであろうか。 その後、直ぐに窓の外に流れる景色を眺めるのだ。
窓の外に流れている景色というのは当然の如く何もない景色。 高速なのだから、ただ視界に入って来るのは防護壁だけだ。 だからなのか景色を眺めるというカッコいい程のものではないのかもしれない。
それでも望からしてみたら久しぶりの雄介の顔をまともに見ていられる訳もなく、ただただ何も変わらない景色を眺めている。
望がそうやって外の景色を眺めている間、雄介の方もただボッーとしてるしかなかったのか座っているだけで何もしていない。 ただ運転席と助手席に座っている和也と裕実はこうもイチャイチャとしているようにも思える。
それから暫くして高速を抜けるとビルがいくつも建ち並ぶ街並みへと変わってきた。
その後も和也は車を走らせ、さっきのクイズ通りにホテルも駐車場へと車を止める。
「着いたぜ……」
そう言うと和也は車から降りて裕実も後から降りて行く。
「ほな、俺等も行こうか?」
「あ、ああ……」
そう望は雄介に言われるものの、いざ到着すると足が動かないのか未だに座っていた。
確かに今まで雄介とは体を重ねてきたのだが、その時は家だったり病院だったり、その場の雰囲気でとかっていう感じだったから元いた場所から動かずに済んだのだが今回はホテルという事もあって、一応、その部屋まで移動しなければならないのだから望からしてみたら車から足が動かないのは当然なのかもしれない。 それに、ここの場所に来たら目的というのはただ一つしかないのだから余計にだ。
「望……?」
そう先に降りていた雄介が望側のドアを開けて声を掛けてくる。
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