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ー空間ー144

 周りの話し声と時折、食器がぶつかる音くらいしか今は聞こえてこない望たちの席。  雄介と和也が話すことがなくなると静かになってしまう。 食事中というのは静かにするタイプなのかは分からないが、食事中は静かな感じになっていた。  そのまま四人は食事を終える。  すると、ちょうどいい時間だったのか、今度は和也が会計を済ませて店を出る。  そして、店を出ると本格的に搭乗口へ向かわなければならなかったのか、望と雄介は搭乗券を出し、二人とも同じ飛行機だったことに気づく。 「あれ? お前も飛行機に乗るのか?」 「あ、ああ……まぁ、和也には望のこと、メールで教えてもらってたしな……ここで俺も飛行機でUターンやなぁ」  望はその雄介の言葉に「ふーん」とだけ答える。 きっと内心では相当喜んでいるのだろう。 だって、まだしばらくの間雄介と一緒にいられるのだから。  望と雄介は搭乗券を機械に通し、雄介は和也に手を振る。  そして二人は飛行機内へと向かう。  和也と裕実は雄介たちを見送った直後、先程裕実にぶつかってきた人物が数人の男性たちと望たちが乗って行った飛行機の方へ向かうのを見かける。  ただ和也の視界に入っただけで、和也はすぐに裕実の方へ視線を向け、 「なぁ……裕実ー、俺たちもう一回ホテルに行かないか?」  そう和也は歩きながら裕実に向かって頭を下げてまで言っていた。 「ちょ、え? あ、あー、か、和也さん……?」  和也の言葉に顔を赤くし、言葉を詰まらせている裕実。  こうも毎回のように言われると、和也が本当に裕実のことが好きだというのは裕実には十分に伝わっているのであろうが、さすがにこう毎回だと「うん」と言っていいのか迷う。 だが、「いいえ」とも言いづらい。  裕実的には全然いいのだが、その行為に依存してしまうことが怖いからとも思ったのであろう。  今は和也からホテルに行きたいと言ってもらっているのだからいいのかもしれないが、もし裕実がその行為に依存してしまい、和也なしでは生きられなくなってしまった場合、これから先、裕実が困ることになるかもしれないからだ。 「和也さん……お誘い本当に嬉しいのですが、また、今度にしませんか?」 「……へ? あ、まぁ……お前が断るんなら、俺は無理強いはしねぇよ」  そう和也はあっさりと引くと、その後は黙ったまま駐車場へ向かう。  さっきまで明るかった和也が、裕実が断ってしまったせいで少し大人しくなってしまったようにも思える。  もし和也のさっきの言葉に裕実が「構わないですよ」と返事をしていたら、今のこの状況は明るくなっていただろう。 そうだ、和也のことだから笑顔で楽しい会話をしていたかもしれないのだから。

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