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ー空間ー145
いつも一方的に話をしてくる和也なのだが、言葉さえなくなると、裕実の方はもしかしたら今、寂しい気持ちなのかもしれない。
和也は裕実に対してもだが、甘くて優しい人間だ。 特に裕実が嫌と言った言葉に関しては、無理強いはしてこない。
駐車場へと来て車へと乗り込むのだが、ナビだけが言葉を発しているだけで、他には何も聞こえてこない。
多分、裕実が和也に「ホテルに行こう!」と誘えば、きっと和也は笑顔で話してくれるのかもしれない。
だが、裕実の中では未だにそのことについて迷っているようだ。
ただ、裕実の場合には、そこに行きたくないわけではない。 その和也との行為に依存してしまわないか、という心配事だった。 ただ、それを和也に伝えればいいだけのこと。
そうだ、自分から和也に話さなければ、自分の思いは和也には伝わらない。 このままなら、きっと和也の方は誤解したままだ。
裕実はいろいろと考えた後に顔を上げて、そのことを伝えるために和也の横顔を見つめる。
「か、和也さん……」
そう裕実が言うと、和也は運転しながら、
「ん? 何?」
と答える。
「和也さん……あの……ですね……さっき、和也さんがホテルに行きたいって言ってたじゃないですか? 今まで僕の中で考えていたのですが、別に僕的には和也さんが行きたいんなら、また行っても構わないですよ。 ですが、僕がですね……その……和也さんとの行為に依存してしまって、僕から和也さんを求めるようになってしまったらと思うと……その……ただ単にハッキリと頷くことができなかっただけですから……ほら、もし僕たちが別れてしまった時……その……僕がどうしたらいいのか? っていうのが分からなくなってしまっただけですからね」
その言葉に対して和也の方はクスリと笑う。
「ちょ、そこっ! 和也さんっ! 笑うところじゃないですからっ! 僕的には超が付くほどの真面目な話しているんですからねっ!」
「悪ぃ……いやぁさぁ、案外、俺って裕実に愛されてるんだなぁって思ってさ。 そしたら、余計にお前が可愛く思えてきたっていうのかな? それに、そんなことで悩むなよ……俺もお前のことが本当に好きなんだからさ……それに、今のところはお前のこと、離すつもりなんかねぇしな……できるなら一生一緒にいたいと思ってるしさ……」
そう和也は笑顔で言うと、裕実の頭をポンポンと撫でるのだ。
「それに、先のことなんかさ……どうにもなれっ! って感じじゃねぇのか? 今を楽しむ方がよっぽどいいと思うぜ。 俺は今が一番楽しいからさ……今を生きるっていう人間だしな。 あまり先のことは考えないようにしてるんだよ。 これから先のことなんかどうなるか!? っていうのは誰にも分からないことだろ?」
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