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ー空間ー165

 だから、犯人の方は余裕があったのであろう。  確かに犯人の言う通りだ。オートパイロットが解除されている今、雄介が犯人を捕まえようとすれば、犯人とやり合うことになる。 ということは、その間、操縦桿は誰も握っていない状態で、飛行機はそのまま急降下してしまうということになるのは間違いない。  そう考えただけで、誰もが背筋が氷るような感じがする。 ただただ嫌な汗が流れるだけだ。  せっかく雄介はどうにかして操縦席まで来たというのに、犯人にそう言われてしまい、そこから先何もできずにいた。  だが、何とかしなければという気持ちはある。 今この状況で冷静に動けるのは雄介だけだ。  雄介はもうここから動けない。 このまま犯人たちのことを見ているだけで助かるのかもしれないが、助からないのかもしれない。  今はもう雄介に乗客の命がかかっていると言っても過言ではない。  犯人が余裕で笑っている中、どうにか助かる方法がないかと模索中なのかもしれない。  そんな中、操縦席内に警報音が鳴り響き始める。  雄介はその音を聞いて、一瞬にして体を硬直させる。  この音は聞いたことがあるような気がする。 どの警告音も似たり寄ったりの音で、雄介は常にこの音を聞いているので分かるようだ。  レスキューの中でも、飛行機ではないがヘリコプターを使っての訓練をしてきた。  だから、これはきっと飛行機の燃料が無くなってきているという警告音だろう。

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