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ー空間ー186

 そして雄介が乗客側にいた犯人を捕まえるまでの映像が映し出される。  雄介が犯人たちを捕まえてからも、乗客たちの表情は安心したような感じではなかった。  特に白井の隣にいた望は、ずっと心配そうな表情で見ていたようだ。 雄介が操縦席にいる犯人と対応している間も、雄介が操縦席へと向かった間も、望が雄介の姿を追っている姿が映っている。  雄介は背中をソファの背もたれに預け、昨日あったことを思い出す。  確かに昨日の事件で動けると思った人間は雄介しかいなかった。 他の人たちは一般客であり、今まで事件や事故には巻き込まれたことがない人たちが多かったのであろう。 そこは普通の人間なのだから、怯えて見ていることしかできない人の方が普通だ。 だが、雄介はそれほど武道には強くないが、普段から鍛えていたのであろうか、犯人たちと無我夢中で戦っていた。 確かに、雄介的には「みんなのことを助けなければ!」という気力だけで犯人たちとやりあっていたから、望のように待っている人の気持ちまでは考えていなかったのだと思う。  もし雄介が望と同じ立場だったなら、さっき見た映像のように心配しながらも見ていることしかできなかったのかもしれない。 「これからは気をつけへんとな……」  さっきの映像を見たことで、今回のことで雄介は反省したのであろう。  そして雄介は昨日の疲れと背中の痛みに耐えながらキッチンへと向かう。  望が出かける前に、望に何か食べさせてやりたいと思ったからだ。  雄介がまたテレビをつけながら料理をしていると、望はどうやらお風呂から上がってきたようで、自分の家にいるかのようにタオルを首に掛け、リビングのドア前で突っ立っていた。

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