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ー雪山ー49

 そう望は言うものの、雄介は掃除機の音で望の声が聴こえていないのか、そのまま掃除機をかけ続けていた。  他人に自分の家を掃除させるのは気が引ける。望は雄介の所に向かおうとしたが、まだ足に上手く力が入らないようだ。望は雄介に言うのを諦め、ソファの背もたれに体を預ける。  雄介は気づくとリビングを掃除してくれたようだ。 「ほな、次は洗濯やな」 「……って、マジでやらなくていいからさぁ」 「何言うてんの? 俺はここの家にお世話になってる身なんやで、そんくらいは当たり前やんか。それに洗濯物溜まってるしな」  確かに、毎回二人で家事はやってきたのだが、雄介に任せっきりというのはさすがに気が引けてくる。それでなくても料理は完全に雄介に任せてしまっているのだから。 「今日の望は怪我人なんやから、今日はゆっくりしておったらええねんで。そしたら、後で買い物くらいは連れてってやるし」  そう言って、雄介は子供をあやすように望の頭を撫でる。 「おい……ちょ! 流石に子供扱いすんなよっ!」  顔を赤くして腕で振り解く望。そんな望に、雄介はくすりと笑って、 「ホンマ、望って可愛いのな」  それだけ言うと、雄介は洗濯機があるお風呂場の方へと向かう。  一方、望は顔を赤くし、拗ねたように、 「俺は全然可愛くねぇよ……」  そうぼそりと呟いてみるものの、ふっと望はあることに気づく。  先程、和也達がいた頃は本当に今日の自分はトゲトゲとしていたはずなのに、今はそれが無くなったような気がする。そう、いつもと変わらない自分のような気がするからだ。

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