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ー雪山ー69

「そっか……まぁ、無理して食べなくてもいいからな。無理して食べて気持ち悪くなったら元も子もないしな。後は俺が食べておくよ」  未だに望は雄介の背中に寄りかかっているが、雄介は構わず望が残したお粥を食べる。 「んー、まぁ、初めて作った割には、まぁまぁかな?」  そう自分で作ったお粥の感想を述べると、望がそこでボソリと、 「美味かった」  と答える。  その望の言葉に一瞬だけ思考が止まる雄介。  今まで望はあまり雄介が作った料理に感想を口にしたことがなかったはずだ。だけど今回に限っては「美味い」と言ってくれたので、雄介は一瞬思考停止状態になったのかもしれない。  しかも確かに小さな声ではあったが、雄介の真後ろで言っていたので、雄介の耳にはちゃんと届いていたらしい。  いつもの雄介なら、そこで「もう一回言って」と言ってしまい、望に拗ねられるのが分かっているので、今日はそれ以上のことは言わないでおこうと思ったらしい。  今の甘いムードを自分のせいで壊したくなかったようだ。  毎回毎回、似たようなパターンがあるのだから、雄介も学んでいる。だから今日は何も言わず、黙々とお粥を食べ続けていた。  長く望と一緒にいるのだから、そこのところは学ばないといけないのだろう。  雄介は一気にお粥を食べ終えると、 「ほなら、これ、下に置いてくるから、望は薬でも飲んで待っていてな」

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