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ー雪山ー76

 望はため息を吐くと今度は雄介の体をベッドへと押し倒し、更に唇を重ねると舌を絡ませ始めるのだ。 「ちょ、望……!? ん……はぁ……何がしたいん?」  雄介は抵抗しようと力を入れるのだが、望に肩をがっちりと押さえられている為か、起き上がる事が出来なかった。  いや寧ろ相手が望なのだから、そんなには力は入れてないから余計になのかもしれないのだが。  暫く望は雄介の口内を味わうかのようにキスを続ける。  雄介の方はその望の行動に付き合っていたのだが、望が唇から離れると同時に半身を起こして望を自分の膝の上へと乗せ望の体を抱き締める。  そして顔を望の胸へと押し当てると、 「さっきからお前は何がしたいん? アカンやんか、熱があるのにそなに動いたら、まだ、熱は下がっておらんのやろ?」 「下がったから、お前の望を叶えてやろうと思ってな」  その望の言葉に雄介は顔を上げると望の視線に視線を合わせる。 「何を言うてるん?」 「だから、お前は俺の事抱きたいって思ってるんだろ? だから、その願いを叶えてやろうって思ってるだけだ」  本当に今日の望の様子は完璧におかしい。 雄介はもう一度ため息を吐くと、 「それはさっき言うたやろ? 今日は望がアカンのやって……」  その雄介の言葉に今度は望がため息を漏らす。 「あのな、そんな事でお前は諦める事が出来るのか? そんなの逆に雄介らしくねぇんじゃねぇのか?」 「いや、そこは逆に俺らしいやろ? さっきも言うたやんか、体調悪い望にやるっていう程、俺は飢えてないってな」  望はまたため息を吐くと雄介の体を抱き締めて、 「なら、俺がしたいって言ったらどうするんだ?」 「……へ?」  その望の言葉に雄介の方が声が裏返ってしまったようだ。 「気付いてなかったのか? さっきから、俺がずっとお前に抱いてもらいたいってアピールしてたんだぜ……」  そう望は雄介の足の上で体をくねくねとさせて雄介の頰に手を滑らせると雄介の頰や額にキスを落としていく。  そこまで望にやられると流石の雄介でも迷ってしまっているようだ。

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