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ー雪山ー96
そして次の朝。
アラームの音で目を覚ます雄介。
「もー、朝なんかいなぁ。ホンマ、朝になるの早いわぁ」
そう言うと、雄介はベッドの上で体を伸ばし、ゆっくりと半身を起こす。
その同時に、望も目を覚まし、横を向きながら目をパチクリ。まだ完全に目が覚めていないのだろう、ぼんやりとした瞳で辺りを見回していた。
「スマンなぁ、望のこと起こしてしまったみたいで」
「ん、んー……」
そう答える望はまだ完全には目が覚めていないようだ。雄介の言葉には曖昧な返事をしながら目を擦り、ベッド横にあるテーブルの上から眼鏡を取って半身を起こす。
眼鏡を掛けたことによって、何やら気付いてしまったようだ。
「ん? 何で、俺、裸なんだ? そして、お前も……?」
首を傾げる望。そして、何を思ったのか、
「雄介ー! まさか、お前さぁ、調子が悪かった俺のこと襲っちゃったって言うんじゃねぇだろうなー!」
その望の言葉に、今度は雄介が首を傾げる番のようだ。
「はぁ!? 何言うてるん? 昨日は望が俺のこと誘ってきたんやで。それに、俺は逆に調子の悪い望を襲うほど鬼ではないしな」
雄介は惚けた感じではなく、本当に真面目に言っているので、その言葉に嘘はなさそうだ。
だからなのか、さっきまで勢いが良かった望も、
「本気で俺から雄介を誘ってたのか?」
そう控えめに聞いてみる。まさか自分から雄介を誘うなんて、今まではあまりしたことがなかったはずだ。だから、そのことについて望自身も半信半疑のようだ。
「ホンマやって。俺やって、何度もお前からの誘いを断っておったのに、なかなかお前の方が折れてくれんかったんやで。それにな、昨日のお前は俺に『マグロでもええから』とまで言っておったんやからな」
それを聞いた望は瞬時にそれを想像してしまったのか、顔を真っ赤にさせている。
「はい!? と、とりあえず俺がお前にそんなこと、言う訳がないだろうが……」
「いいや、昨日の望はホンマにそういうことも普通に言っておったんやで。せやから、昨日はいつも以上に楽しめたっていうんかな?」
雄介はそこで立ち上がると、もう時間もなくなってきているようで着替え始める。
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