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ー雪山ー101
「急にどうしたんだ? 今の話、さっぱり何を俺に言いたいのかが分からなかったんだけど? ま、寧ろ俺にはただのノロケ話にしか聞こえなかったんだけどな」
そう言いながら、未だにクスクスと笑っている和也。
そんなことを言われた望は、当然顔を真っ赤にしていた。
「と、とりあえず、そんなことはどうでもいい話だろ?」
「ホント、望ってたまに墓穴掘るよなー。てか、自爆とも言う」
そう言って、和也はまだ笑い続けている。
だが、そんな和也の姿を見て、望はこう思っているのかもしれない。
どうして? 和也は裕実と喧嘩したというのに、こんなにも笑っていられるのだろうか。というところだ。
もし、自分が今の和也の立場だったら、あんなふうには笑っていられないと思っているのかもしれない。
「それはいいんだけどさ……一つ疑問に思うことが出てきちゃったんだよなぁ」
「ん? 何?」
和也は望の言葉に興味を持ったのか、体を乗り出してまで聞いてくる。
「あのさぁ、俺が昨日、急に熱出したって言ったじゃねぇか……」
「ああ、まぁ、そうだったな」
「そこで、雄介が朝、変なことを言ってたんだよな? 何か昨日は俺から雄介のことを誘ってたんだってさ」
「望が雄介のことを誘った!?」
和也もその話を聞いて驚いているようだ。
和也だって望の性格はもうよく知っている。だからこそ、望から雄介を誘うなんてことは、多分、あり得ないことだろう。
「……で、俺の方は全くそこの記憶がなかったんだよな」
真剣に和也に向かって相談している望。和也も望の言葉にふざけることなく真剣に聞いてくれているようだ。
和也だって望との友達歴は長い。だからこそ、何か望の悩みの助けにならないかと考えてくれているようだ。そして、腕を組みながら首を傾げる和也。
「記憶がないね……?」
和也が真剣に望の悩みを考えていると、部屋にある時計の針がカチコチと時を刻む音が耳に入ってくる。
時計の秒針が聞こえるということは、それだけ部屋の中が静かだということだろう。
そして和也は何かを思い出したのか、
「あー!」
と突然大きな声を上げるのだ。
「な、何だよ……突然……!?」
「いやさ、何となくだけど、望が言ってることが分かってきたような気がするんだけど……?」
「……それで?」
望はもったいぶる和也に対して、先を急かせるように聞く。
「望さぁ、前に記憶喪失になったことがあっただろ? それっていうのは後遺症なんじゃねぇのか?」
「……記憶喪失の後遺症!?」
「多分、そうなんじゃねぇのかな? って思うんだけど……。だってさ、熱が出ると記憶をなくす……ってことは、記憶喪失の時と同じってことだろ? それで、記憶のない望っていうのは、積極的になるって雄介が言ってたしな」
「あー!! そういうことかっ! でもさ、それくらいの後遺症なら生活には支障ねぇから気にしなくていいかな?」
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