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ー雪山ー104

「別に、全部片付けてきただけさ」 「仲直りは?」 「ん、まだ……でも、俺が言いたいことは言ってきたつもりだけどな」  和也はそう言うと、診察室のベッドへと腰を下ろす。 「それじゃあ、仲直りになってないじゃねぇかよ」  望だって和也の性格はよく知っている。和也の場合、うだうだしている時には背中をポンっと押してあげるだけで、素直に行動し、自分の言いたいことは言ってくる性格だ。  だから今、望は望なりに和也の背中を押したつもりだったのだが、どうやら裕実と仲直りという域には達していなかったようだ。  望は、こういうケースというか、今までこういう仲直り役になったことがないため、和也のような行動はできない。  とりあえず、望は『ま、後は二人のことなんだし、いいか……』と思ったのであろう。 「和也ー、行くぞー」 「あ、ああ……」  和也は望にそう言われてベッドの端から跳ね降りると、望と一緒に部屋へと戻っていく。  部屋に戻ると、今度は部屋の掃除を始める二人。 「そういやさぁ、たまには家に来ないか? 雄介にも朝、そういう風に言われたんだけどさ」 「ん? 構わないんだけどさ。まだ、望の体調は万全じゃねぇのか?」 「ん、まぁな……何となくだけど、まだ体が熱っぽい感じがするしさ」 「分かった! 今日は裕実との約束もねぇし、俺の方は構わねぇぜ。それか、望が家に来るとかは?」 「え? いいのか?」 「あ、ああ……まぁ、まだ、裕実しか呼んだことなかったしさ」  そこで急に和也は思い出したのであろう。 「あ! そっか! 俺の家って、まだ裕実しか呼んだことがなかったんだっけ?」  そう思い出したかのように言う和也。 「それでも俺はいいかな?」 「じゃあ、そうしようぜー」

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