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ー雪山ー122
和也は「おやすみ」とだけメールをしておく。だが、そのたった一言の返信さえも裕実からはなかった。いつもなら直ぐに返信があるのに、今日は五分経っても十分経っても裕実からの返信はない。
和也はため息をつくと、うじうじと考えるのが嫌な性格なので、エアコンを消して、照明のリモコンだけを持ってベッドへと向かう。
和也がベッドに向かった時には、もう望は寝ているのであろう。和也とは反対側を向いて猫のように体を丸めている姿が見える。
そんな姿を見て、ふっと和也は思い出す。かつて好きだった人物。今でも嫌いではない。流石の和也も、抱きしめるくらいならとでも思っているのかもしれない。
今は確かに望には雄介がいるのだから、望のことは完全に諦めたと思っていたのだが、やはり二人きりでベッドで寝るとなると、そう思ってしまうのかもしれない。
きっと和也は裕実と喧嘩して、今望への気持ちと裕実がいない寂しさがあるのだから、余計にそう思ってしまっているのであろう。
そんな気持ちから変に「少しくらい望のこと抱きしめるくらいなら」と思ってしまっているのであろう。
和也が望の腰に腕を回してみようと腕を伸ばした直後、望は急に和也の方へと振り返って、瞳を座らせたまま、
「今、何をしようとしてたんだ?」
「あ、いや……別に……」
和也は何とか誤魔化そうと、瞳を宙に浮かせる。
そんなことをしたら嘘をついているのは、望にはバレバレだろう。
「今、俺に何かしようとしてただろ? 目が嘘ついてんだよ」
「べ、別に……なんでもねぇよ。望はさ、具合、悪いんだろ? いいから、早く寝ろよ」
「お前がそんなんじゃ、寝れるわけがねぇだろうが……」
そう言いながら望は布団の中に潜り込み、和也の方へと体を向ける。
「ま、和也がそういう気なら俺は構わないんだけどな」
望はそう言って、急に怪しい笑みを浮かべ、和也の服の中に手を入れて和也のお腹を撫でる。
その望の行動に、和也は体をビクリとさせて目を丸くし、望のことを見上げる。
「え? あ、ちょ、ちょ、ちょい待て……の、の、望!? これはどういうことだ!?」
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