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ー雪山ー127
「とりあえず、あれはだな……誤解だ」
そして、そこで一旦話を止めると、望のことを話し始める。
「とりあえずな……望って、確かに普段はいつもと変わらない望なんだけどさ。でも、熱を出すと性格が変わるっていうのかな? まだ、そこには確信っていうのはないんだけど、でも、俺の推理からすると、望は熱を出すと積極的な性格になるっていうのかな? とりあえずな、望は半年以上前にデパート火災に巻き込まれて、一瞬だけ意識を失くしたことがあったんだ。それで、記憶喪失になっちまったことがあったんだよな。今は一応、元に戻ってきているのだけど、やっぱり後遺症っていうのがあったみたいで、熱を出すと今でも記憶を失くすようなことを言っていたしな」
そう和也は裕実に、望に関して説明を続ける。
「そして、そのことについて雄介も言ってたんだけどさ……前に記憶を失くした時の望っていうのは、普段の望っていうのは、真面目でツンデレでっていう感じだけど、記憶を失くした時の望というのは性格が変わってしまう。そして、今は熱が出た時に変わってしまうらしいんだけどな。それが、今さっきお前が見てしまったところっていうのかな? ってかさ、あん時、どっちが上になってた?」
「あ! 望さんの方でした!」
「だろ? もし、俺が望のことを襲うのなら、俺が上になってると思うのだけど? そこは、いつものように冷静なお前だったら、瞬時で分かったのかもしれないけどな。流石にあんなところを見てしまったら、そりゃ、冷静じゃなくなるよな?」
和也は顔を上げると、裕実に笑顔を向ける。
「これで、誤解は解けたか?」
「はい!!」
「なら、よかったかな?」
和也はやっと誤解が解けたことで安心したのであろう。急につま先から痛さや寒さがせり上がってきたようだ。
「うー、寒ぃ……ってか、なんで足の裏が痛いんだ?」
和也は寒さで震える体を押さえながらも、つま先の方に視線を向ける。すると、
「馬鹿だなぁー、俺……お前のこと探すのに夢中になってて、靴も履いて出てこなかったらしいな。それに、寒いと思ったら上着だって着て来なかったし。ハックション!」
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