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ー雪山ー130
「それじゃあ、お前が足を痛めることになるだろうが……」
その和也の言葉に裕実はクスクスと笑って言った。
「僕は和也の背中に乗るから大丈夫ですよ」
「ああ、確かにそれが一番だよな」
和也は納得すると、裕実の靴を履き、裕実を背中へと乗せる。
「それにこれなら和也さんも寒くないでしょう?」
「ああ、確かにな。寧ろ、暑いくらいだぜ……」
和也は笑顔を取り戻し、背中に裕実の温もりを感じながら自分の家へと向かう。
マンションに到着すると、和也は裕実から合鍵を受け取り、先ずはその合鍵でマンションの入口のドアを開ける。
エレベーターに乗り込み、三階にある自分の家へと向かう。和也は玄関の鍵を開けるが、いつものようにドアを引いても開く気配がなかった。
「ん? 開かないんだけど……?」
「和也さーん……」
裕実はそう言いながら和也の背中から降りると、
「和也さん……僕を追いかけて来た時に、普通家の鍵ってわざわざ閉めますか?」
その時の和也の心理状況を想像して言ったのかもしれない。
「あ、そうか! 確かに、そんな状況で鍵なんかわざわざかけないよな?」
再び和也は鍵穴に鍵を差し込んで扉を開けると、今度はすんなりとドアが開いたようだ。
「マジで、一瞬焦ったわぁ。ここまで来て家に入れないかと思ったぜ。とりあえず、先ずは風呂に入ろうか? 裕実だって足、汚れて冷えてしまっただろ?」
「まぁ、確かに足は冷えてしまいましたけどね。でも、大丈夫ですよ……ずっと、僕は和也さんの背中にいたんですからね」
そう言うと裕実は和也の顔を笑顔で見上げる。
「まぁ、確かにそうなんだけどさ……でも、お風呂に入って温まりたいだろ?」
「ですね……」
和也は部屋に入ってすぐに左手の方にあるお風呂場へと入り、シャワーで一旦自分の足を洗って浴槽にお湯を溜め始める。
そして裕実と一緒に奥にある部屋へと向かうと、どうやら望はもう寝てしまったらしい。ベッドで布団を被っているのだから。
「とりあえず良かったぜ。望の奴、寝れたみたいでさ」
「ホントですね。じゃあ、望さんのことを起こさないように、僕たちの方はお湯が溜まるまで待ってましょうか?」
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