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ー雪山ー136
そして和也は無意識に裕実のことを庇うように抱き締める。
「和也ー」
それと同時に、和也達の横を通り過ぎる間際に、和也は望に声を掛けられたようだ。そこで体をビクつかせる和也。
「ん? なんだ?」
なるべく平静を装いながら望の顔を見上げる。
「水あるか? 喉乾いたからさ……」
「あ、ああ! それなら、そこにある冷蔵庫に入ってるから、勝手に飲んでいいぞー」
「ああ、ありがとうな」
そう言うと望はキッチン横にある冷蔵庫へと向かい、二リットル入りのペットボトルを取り出しグラスへ注ぐと、一気に飲み干す。なぜだかそんな望の姿にホッと胸を撫で下ろす和也。
「ところでさぁ、お前ら寝なくてもいいのか? つーか、寝ないでそこで何してんだよ」
そう望はキッチンから和也に話をしているのだが、どうやら和也からの返事がないようだ。
望が和也に向かって話しかけた頃、裕実と和也はどうやら小さな声で話をしていたらしい。
『望さん、平気そうじゃないんですか? 僕たちのこと、そんな風に見てるって感じがしませんでしたしね。それに、望さんが起きてきたならば、和也のさっきの怪我を見せるべきですよー』
『だけど、まだ分からないんだぞ……とりあえず、望には警戒しとくのがベストだな』
「和也ー、人の話聞いてんのか?」
望は、望の話を聞いていなさそうな和也の側へと向かうと、和也の耳元でそう言うのだ。
その望の行動に再び和也は体をビクつかせる。
和也はゆっくりと望の方へ顔だけを動かし望の方へ顔を向けると、和也の顔の真隣に望のドアップがあった。そして驚いた表情をすると体ごと裕実の方へと退かせる。
「……ったく失礼な奴だなぁ。そんなにビビらせるようなこと、俺したか?」
望は立ち上がると腕を組んで和也と裕実のことを見つめるのだ。
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