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ー雪山ー137
「あ、いや……別に……な、何でもねぇよ……やっぱりさ、顔がいきなり真横にあったら、ビビらない奴はいないだろ? だから、ちょっとビビったっていうだけだからさ」
「それは悪かった……。だけど、人の話を聞いてないお前も悪いんだからなぁ」
「それは……ごめん……」
「……で、だから、何してたんだよ?」
望はまた顔だけを和也の方へ向け、顔を近付けると目を細めながら問う。
「あ、だからー、お前には関係ね……」
と和也は言おうとしたが、その横から裕実が望に向かって、
「理由は後で話しますから! とりあえず、望さん! 和也の足の裏を診てください! お願いします!」
「ちょ、お、お前なぁ! それは言うなっ……痛っ……」
和也がまた最後まで言葉を言い切らないうちに、言葉を遮られてしまったようだ。
今の裕実の言葉を聞いて、望は立膝をついて座り、和也の足首を掴んで足の裏に触れたからだ。
「へぇー、そういうことか……和也、よくこんな足の状態で今までいられたよな? この足の状態じゃ、歩くのが精一杯なんじゃねぇのか?」
望はそこまで言うと、今度は裕実に向かって、
「裕実……ありがとうな……コイツってこういうことだけは素直に言わないからさ」
「当たり前ですよー。僕たちは恋人同士なんで、ホント、僕、和也さんがこんな怪我をしただけでも心配なんですからー」
「ま、羽交い締めしてもいいから、和也のこと押さえといてくれねぇかな? これくらいなら、ピンセットでも使って抜いていけば大丈夫だからさ」
「ですって……」
そう裕実は和也に向かって笑顔で言うものの、和也の方は睨むようにして裕実を見上げる。
「ですって……って、お前なぁ! こんくらいの怪我程度なら、お前でも処置できるだろうが……! 痛っ!」
和也が裕実に抗議している間に、望は和也の足首を掴んで足の裏に入っている小石を抜き始める。
『出来ますよ。でも、僕の方も今の望さんの状況を知りたかったんです。でも、今の望さん何だか平気そうに見えますけど? だって、ちゃんと和也さんの足を治療してくれてるじゃないですかー?』
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