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ー雪山ー145

 そう言いながら、和也は裕実の頭をくしゃくしゃと撫でる。 「ちょっと! 和也さん! 『も』ってなんですかぁ? それじゃあ、僕は望さんのついでみたいな言い方しないでくださいよー」 「そういうつもりで言ったんじゃねぇよ。望も可愛いけど、お前も可愛いってことだ」 「それじゃあ、さっきと変わってませんから」  裕実は和也の言葉に拗ねるように、和也とは反対側へ視線を向けてしまう。 「だからさ、俺はもう、好きなのはお前しかいないんだからさ、さっきのは悪かったって」 「本当にそれ、反省してます?」  裕実は和也の方に視線を向け直し、しっかりと和也の方へ視線を向けて和也の瞳を見つめる。 「嘘なんか吐いてねぇよ。信じてくれ、裕実……」  和也はそう言って、真剣な瞳で裕実のことを見つめる。 「あのさ、ふざけている時の俺と真面目な時の俺、お前ならそこはちゃんと分かるだろ? さっき望に言ったのはふざけている時の俺だし、今は裕実に向かって本気だっていうことがさ」  裕実は和也の言葉に笑顔になると、 「やっぱり、和也さんってかっこいいですよねー。僕は和也さんのこと好きになって良かったって今は思ってますからね」  そう裕実は言うと、和也の体を抱き締める。 「俺も今は断然、望なんかよりも裕実の方が好きだからな。そうそう、お前のいいところってそういう素直な所がいいよなぁ」  今、なんだか望と雄介の方はこの二人に完全に当てられているという感じだろう。  二人はこの二人の熱々っぷりに、同時にため息が出たくらいなのだから。 「ホンマ、熱いわぁ」  そう雄介は独り言を漏らしたつもりだったのだが、 「本当だよ……しかし、よくあんな人の前でラブラブなこと出来るよな? 恥ずかしくねぇのかな?」 「恥ずかしくないから、ああいうことが出来るんやろ?」  逆に外では和也や裕実のようにラブラブなことをしない雄介と望。逆に言えば、この二人が外でよくそんなことが出来るのか、と思うほどなのかもしれない。

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