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ー雪山ー146
ふっと雄介は思ったことがあったようだ。
以前、雄介が仕事で東京に来ていた時のことだが、東京からいなくなった直後に和也が裕実に告白したということは聞いていた。しかし、裕実がいつから和也のことを好きになったのかは聞いていない。それに、望の方は最初は普通に女性が好きなタイプで、雄介がこちらの世界に引き寄せたようなものだから、雄介が望に告白してからの返事は遅かったようなものだった。しかし、和也と裕実に関しては、告白してからの返事が早かったように思える。となると、裕実は元から男好きだったということだろうか。
そうだ、雄介はこの二人がカップルになったということは知っていたのだが、その過程については全然知らない。だから気になったのだろう。
雄介は後ろへと視線を向けると、
「なぁ、裕実はいつから和也のことが好きになったん?」
未だにイチャイチャしている二人だったが、雄介の質問に二人同時に雄介の方に視線を向けてきた。
「いつからって……」
裕実は雄介からの質問に口をもごもごさせながら和也のことを見つめる。
「ん?」
和也はその裕実の顔を見て首を傾げる。
「俺の方もそれ聞きたいかも。それ、今まで裕実に聞いたことなかったしな。それに、俺からの告白もすんなり受け入れてたし」
裕実はいきなりそんな恥ずかしい思い出を振られて顔を真っ赤にしながら顔を俯けてしまう。
「そこは、恥ずかしいところやったんやな」
雄介はニヤケながら言うと、和也もそこに便乗してきたようで、
「案外、裕実って素直だけど、たまにこういう風に恥ずかしがったりするところがまた可愛いんだよなぁ」
「せやな……そこは、望とはまた違う可愛さがあってええんちゃう?」
「まぁな……」
そう和也は自慢気に言うが、すぐに裕実の方に視線を移して、
「なぁ、裕実……教えてくれよ。いつから俺のことが好きになったんだ?」
和也は裕実のことを覗き込むようにして聞き始める。
今まで顔を伏せていた裕実だったが、いきなり観念したかのように顔を上げて、
「分かりました! 言いますよー。だから、二人で僕のこと、責めないでくださいね」
そう裕実は頬を膨らませて言う。
「でも、和也さんも雄介さんもそういう風に意地悪なこと言いますけど、ほんと、望さんの方は優しいですよねー」
裕実は会話に参加していなかった望にその会話を振っていた。
いきなり会話を振られた望は慌てて返すが、
「ま、まぁな。でもさ、それ……俺も聞きてぇかも……」
そうコソと言う望。
だが他の三人からすると、望の口からこんな意外な言葉が出てきたようで目を丸くし、望の方に視線を向けていた。
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