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ー雪山ー147

「望って……裕実には素直で、ちょっとそこに妬けてまうわぁ」  そんなことを雄介に言われ、望は顔を赤くしながらも車の運転を続ける。 「うるせぇ、ただ、話に乗っただけだろうが……」  そう雄介には言う望。 「ま、とりあえず望は運転中やし、あんま話しかけん方がええわぁな」  今まで望の方に顔を向けていた雄介だったが、また今度は和也達がいる方へと視線を向けて、 「裕実……どうなん? そういや、最初ん頃は俺にボディータッチとかしてなかったか? そうか……そうなると、裕実は最初っから男が好きやったってことになるんかな?」  そう雄介に過去のことを思い出されてさらに顔を真っ赤にさせる裕実。 「え? あ……実はそうだったんですよ。まぁ、前に和也さんには話したことがあったんですが……僕って、見た目は女っぽい所あるじゃないですか? だから、女性にはモテなくて、それ、高校の時に気付いたんです。僕はなんか男性の方が好きなんじゃないかって。それで、男女共用の学校に通っていたのにも関わらず、休み時間や授業中に視線を向けていたのは男子生徒の方だったのでね。しかも、クラスでは一番人気のある男子だったんですけどね。そこから、僕は女性ではなく男性のことが好きなんだなぁっていうのが分かったのです。まぁ、流石にその頃は告白できませんでしたけどね。ほら、初恋って実らないって言うじゃないですか?」  裕実が話すことに真剣に聞いている和也と雄介。 「……で、俺の時は?」 「和也さんの時は……和也さんに色々と教えてもらっていて、その時の和也さんは優しかったですし、かっこよかったので和也さんに惚れていた訳ですが、流石に僕の方も男性同士では恋は実らないと思っていたのでね。でも、どうしても和也さんに振り向いて欲しくて、実は色々と僕の方は仕掛けていたんですけど……」

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