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ー雪山ー160
その雄介の言葉に和也は雄介のことを見上げる。
「雄介……望の恋人って大変なんだろ? お前さぁ、あんまり望のことに関して愚痴ることは少ないんだけどさ、望に関して、鬱憤とかって溜まってるんじゃねぇのか?」
「ん? 多少はな。でもな、最近はむっちゃ、家では俺に甘えてくるんやでー。まぁ、外ではしてくれへんから、そこが不満なんかな?」
そう雄介はそこまで言うとため息を漏らす。
「それは確かに俺も知ってることだけどさ、ホント、望の相手って大変なんだなーって思うよ」
今まで大人しく和也と雄介の会話を聞いていた裕実だったのだが、突然、大声を出して、
「あ! そう言えば、望さん、スキーに行かないって言ってたじゃないですかー? せっかくスキーに来たんですから、望さんをスキーに誘う方法なにか考えませんか?」
「え? おー! 急に大声出すんじゃねぇよ。ビックリしたじゃねぇか……へ? え? ってか、望を誘うのか? 絶対、望を誘うなんて大変なことだと思うぞ! うん!」
和也はそう力説するように言うと裕実のことを見つめる。
「せやなぁ、確かに和也の言う通りやって、望は後は頑固なところもあるしな。誘えたら、それこそ、奇跡に近いで……」
「って、なんで二人とも諦めているんですか!! 二人共、望さんの親友であって、恋人なんでしょう? そんなことで諦めてどうするんですか!! 確かに僕だって、スキーは嫌だったんですよ。でも、和也さんが教えてくれるって言うから、楽しみに来たんですからね!」
「そこは、愛のパワーやろな」
そう雄介はぼそりとそう口にする。
「そうなのかもしれませんがね。じゃあ、望さんはスキー好きじゃないのに、なんでスキーに着いて来たんでしょうか?」
裕実はそこまで言うと席へと座る。
「あ……まぁ、確かにそやな? なんで望はスキー好きやないのに、着いて来たか? っていうのは謎なのかもしれへんな。ホンマにスキーに行くのが嫌やったら、風邪引いたーとか言うて、家に残っておってもおかしくはない筈なのにな?」
「でしょう? 二人共、望さんの性格を知っていっらっしゃるなら、望さんの心理を探ってみてくださいよ」
こう裕実の言葉をいうのは、なんでここまで説得力があるんだろうか。二人は裕実の言葉に納得させられているようだ。そして今の望の状況みたいなものを考える。
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