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ー雪山ー165

 本当に望はスキーができるのか? できないのか? というのが分からなくなってきたようにも思える。  スキーというのは、一歩間違えれば怪我に繋がるスポーツだ。いや、スポーツはどれも同じことが言えるが、スキーというスポーツは本当に危ないスポーツだということを雄介もよく知っているからなのかもしれない。  それに転けて打ち所が悪ければ死に関連してくる。一般向けスポーツの中では、結構危険な怪我が多いスポーツなのかもしれない。  いや、でも望の場合には、そこまで心配する必要はないのかもしれない。望は医者なのだから、無理と判断すればすぐに辞めてくれるだろう。 「まぁ、望が元気になったんやったら、みんなのところに行かへんか? 今日の夜はみんなで宴会みたいなのをやりたい! って和也が張り切っておったでぇ!」 「あ、ああ……まぁ……そうだな……今日は仕事のことを忘れるために遊びに来てるようなもんなんだしな……そこは楽しまないと意味がないってことかな?」  望はそう言いながらベッドの上へと立ち上がる。  そんな望にびっくりしたような表情で見上げる雄介。そう、望の性格というのは基本的に素直ではない。だから雄介の言葉を聞いて、素直に望が和也たちのところに行くと言ったからだろう。  少し、そんな望にフリーズ気味だった雄介は望のことを覗き込むようにして見上げる。 「雄介? 何してんだ? 和也たちのところに行くんだろ?」 「あ、ああ、せやったな」  望に声を掛けられて、雄介は慌てて望の言葉に返事をすると、望と一緒に和也たちがいる部屋へと向かう。  望が寝室の方から出て行くと、和也はその望の姿に気付いたらしく、和也はソファのところから望へと声を掛ける。 「やっと、起きてきたのか? 望、体の調子はどうなんだよ?」  そう言いながら和也の方は望に向かって笑顔を送るのだ。

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