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ー雪山ー173

「裕実はどう思う? 裕実の意見も聞いてみたいかな?」  和也の方はお酒が回り始めているのか、少し呂律が回らない感じで、和也は裕実にその話題を振る。 「んー……僕もそう思いますよ。お二人の会話を聞いていると、多分、そうなんじゃないかと思うんですけどね。じゃなければ、そうすぐに雄介さんを東京の方に戻してくれるわけがないと思いますし」 「せやなぁ、確かにうちの親父、人事担当だった気もするし」 「これで、九十パーセント位俺の親父と望の親父と知り合いかもしれないっていうのが分かったな」  それで、どうやら四人は納得しているようだ。 「そういや、和也は何で看護師になったんだ?」 「んー? 俺?」  今日の和也は早くも酔いつぶれてきているらしく、椅子へと背中を預けて答え始める。 「俺はさ……小さい頃、喘息持ちで、発作があると病院通いしてたんだよな。しかも、たまに入院が必要な位酷かったっていうのかな?それで、そこにいた看護師さんに優しくしてもらって、看護師さんに憧れがあったっていうのかな? 大きくなったら、看護師さんになるぞ!ってな……」 「そうだったんだな……で、今はその喘息っていうのは出ないのか?」 「小児喘息だったから、完全に大人になる前に治ったみたいだったな。今は発作もねぇしさ」 「僕も和也さんと同じような感じでしたよ。僕の場合には病気ではなかったのですが、小さい頃からドジなところだけはあったので、しょっちゅう怪我してましたから、病院にも行ってましたからねぇ。だから、看護師さんに憧れて看護師さんになったっていう訳なんですよ」 「なんだ、そうだったのか。和也達も似た者同士でカップルになったって訳なんだな。もう、俺はお腹いっぱいになったからいいや」 「俺もー、あとちょっとだけだし、あと全部雄介が食べろよ」 「せやな、まだお腹に入るし、あとは俺が食うしな」  野菜やらお肉やらといっぱい買って来たつもりだったのだが、やはり大人四人が集まったなら、それくらい簡単に食べれてしまうというところだろう。あとはもう雄介のお皿にあるのみとなっていた。  食べた方の和也と望はビールを口に運ぶ。ビールも今日は早く飲んでしまっているのか、望も和也も今日はもう三本目だ。

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