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ー雪山ー177

 だが、そこで雄介はふと思った。今、望は思うように体が動かないと言っていたのに、雄介の手首をしっかりと掴んで誘導しているところを見ると、しっかりと望の体は動いているようにも思える。突っ込みを入れたかったのだが、そこは黙って心の中にしまっておこうと思ったのかもしれない。 「ま、ちょー、待てや。熱いからって、こんな寒い所で服脱いだら寒いに決まってるやろ?とりあえず、ここで今裸になったら風邪引くのは間違いないんやしな。とりあえず部屋が暖まるまで待ってくれへん?それに、ここは東京とは違うんやで、寒い場所やねんから、ほんまにもうちょい暖かくなってからにしようか?」  そこまで言うと雄介はあることに気付く。  今は望が酒のせいで体温が上がっているだけで、風邪の熱で熱が上がっているわけではない。もしかしたら酔いが覚めたなら、この望の症状は消えるのではないかと思うのだ。  だからなのか雄介は逆に望の誘いに乗ることにしたらしい。 「ほな、脱がしてやるな。でもな……服脱がしてどないするん?」 「んー、そりゃ……決まってるだろ?俺たちが恋人同士だって言うんだったら、尚更なんじゃねぇのか?」  雄介はその望の言葉にため息を漏らす。「やっぱり」とでも思ったのだろう。  雄介はそれはそれで構わないのだが、望が次に我に帰ったときに望に怒られるのは間違いない。それが怖いというのか、なんていうのかという感じだ。それに今日は和也達もいる。今の雄介はまだそういう気分にはなっていないので、和也に茶化されたら恥ずかしい思いをするのは自分だ。  それを考えたら当初の予定通りに、雄介は望が着ている洋服の前だけをはだけさせることに止める。 「これでええんか?」 「違うだろ!?服脱がしたらさ、普通は、体とかに触れたりするもんじゃねぇのか?」  望はさらに雄介の手首を引き、望自ら雄介の手で自分の体を触らせるのだ。  それから暫く望はそんなことをしていたのだが、 「寒いんですけどーってさ、雄介?これは一体どういう事だ?」  そう白い目で雄介のことを見上げる望。  雄介はその望の様子に気付き、ため息を吐くと望の体から手を離して望の服のボタンを今度は留め始める。 「ま、まぁ、ちょっとな……望が本気で嫌やったら辞めるし」 「こんな所じゃ嫌に決まってるだろ?今日は和也達もいるんだしな」 「せやな、ほな、俺らは先に寝てようで……」  雄介はそう言いながら冷えた体を布団の中へと入れた。 「……ったく。何で、お前の体はこんなに冷たいんだよ。その冷たい足をくっつけるんじゃねぇよ」 「暫く我慢してぇな。とりあえず、俺の方はお前のせいで寒い思いしておったんやからな」 「だから、その理由を言えってーの!ってかさ、お前が俺に手を出して来たんだから、体が冷えるのは当たり前なんじゃねぇのか?」 「んー、まぁ、望の言う通りなんやけどな」 「その言い方だと、何か意味ありそうだな」

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