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ー雪山ー178

「望は気にすんなやー、ほら、寝るで……」  雄介は布団に潜ると、望には一切手を出さずに瞳を閉じるのだ。  雄介のその様子に、望は一つため息を吐くと、雄介の体を抱き締める。  望だって、そこまで鬼のような性格ではない。そうだ、何だかんだ言ったって望は雄介のことが好きなのだから、今は普通の望でも雄介にそうやって触れられるのは嫌いではない。寧ろ好きなのだから、本当はあのまま触れてくれていたら良かったのにと思っていたのかもしれない。だけど、望の性格上、やはり素直ではないことを言ってしまう。だから、雄介がそういう気で、望もそういう気であっても、望は反対のことを言ってしまっているのだから。そろそろ、雄介の方も望がそういう風に反対のことを言っても、もうちょっと押してきて欲しいと思ってしまうくらいなのだから。でも、雄介の方もそうやって引いてしまう所を見ると、本当に望には優しいのであろう。無理強いはしない。そこが雄介のいい所でもあるのだから。 「今、何があったのか? っていうのは、酒呑んでたから記憶が無い俺だけどさ……俺のこと抱きたかったら抱けばいいんじゃねぇのか?」  そう望はぼそりと呟くように言う。  その望の言葉に、雄介は反応したのか望のことを見上げるのだ。 「せやけどな……?」  雄介はそう一旦、間を空けると、 「今日は和也達もおるんやで、いつここに入って来るか? っていうのが分からへんやろ? ほんなら、今度二人が休みの日にゆっくり家でやるっていうのはどや?」  望はその雄介の言葉に頭を頷かせる。  だが、本当に雄介はそれでいいのか、と心配になる望。もし、これが雄介の立場なら我慢できないと思ったからなのかもしれない。  でも、雄介のその優しい性格を踏まえると、望の為に我慢するなんて事なんか朝飯前なんだろう。  だから、今の望はそこでため息を漏らす。 「なぁ、本当にそれでいいのか?」 「ええんやって、今はホンマ、望と一緒に居られるっていうだけで、幸せなんやからな。それ以上のことは望まんし」 「そういうもんなのか?」 「ああ、そういうもんやって」 「そっか……」  お互いにお互いの性格を知っている二人。お互いの気持ちを尊重し合えるのが恋人同士として長く居られる秘訣なのかもしれない。  二人がお互いに向き合って瞳を閉じた頃、和也と裕実が部屋へと入って来る。 「ちょっとー! 和也さん! 誰もいないからって、露天風呂でやることはないでしょう」 「ほら、たまには変わったことしたかったしな……」  そう和也は裕実に向かい笑顔を見せる。 「でも、恥ずかしかったんですからねぇ! 誰か来るんじゃないかって……もう! ひやひやしてたんですからー!」  そう裕実の方は顔を真っ赤にし、頬を膨らませながらも和也に抗議する。

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