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ー雪山ー180

 そして次の日。ほぼ同時に起き始める。きっと体内にある目覚まし時計がその時間に起こしてくれたのだろう。長年染み付いた時間に起きてしまうということなのかもしれない。  そしてソファに集まって話を始める。そこで一番最初に話を始めたのは雄介だ。 「昨日、お前ら遅かったみたいやったけど、どないしたん?」  雄介は昨日の和也と裕実が遅く帰ってきた理由を何となく分かっていたが、それを聞いてみることにしたらしい。 「それは、決まってんだろ? 露天風呂で裕実のこと抱いてたからな」 「やっぱり、そうやったんかい。ところで、露天風呂でやるってどないな感じやったん?」 「そりゃな……もう、ある意味、最高! って感じだったかな? いつ誰が来るかも分からないというスリル感ってやつがあったしよ」 「へぇー、そうやったんか。ほな、望ー、俺らもその露天風呂に行ってみよっか?」  そんなヘラヘラ顔で言われたら何を想像しているのかが分かったのだろう。そんな雄介の顔に手を当てたのだが、 「ちゃう、違うって! そこは置いておいてなぁ、真面目に露天風呂に行かへんかなぁ? って思っただけやし。それに、昨日は酒飲んでおったし、風呂に行ける状況じゃなかったやろ?」 「お前が何もしないって誓うのなら行ってもいいかな? って思うけど……」 「ほなら、行こうか?」 「あ、ああ……」  とりあえず望には手を出さないという条件で、二人で露天風呂の方に向かうことにしたらしい。  しかし最近の雄介は変わって来たと思う。だって雄介が望のことを誘っても望が拒否すれば、すぐに諦めたりしてくれる。  それは逆に望からしてみたら不安要素でしかなくなってきているようにも思える。  確かに望は雄介からの誘いを断って来ているのだが、そこは素直になれない自分がいて、断ってしまうのだから仕方がない。でも雄介はそこまで押して来なくなってきたというところであろうか。望が嫌だということは無理強いはして来なくなったということだろう。  恋人同士なのに、外を歩く時は雄介か望が先に歩いて、一人は半歩ぐらい下がって歩いて行く。もう、これも定番になってきたのだが、それさえも今の望には寂しく思えているのかもしれない。  そして今回は先に雄介が歩いて露天風呂の方に向かっている。その背中を見ている望。その雄介の背中がますます逞しく見えて来ているのは気のせいだろうか。 「望……?」  そうふっと望は雄介に声を掛けられ、顔を雄介の方に向ける。 「やっぱり、みんなでここに来て良かったのかもしれへんな。めっちゃ、空気はええし、自然がいっぱいやんかぁ。ホンマ、東京とは違って、のんびりとした時の中に居るって感じがせぇへん? 和也の提案で来てみて良かったって思えてるしな」 「え? あ、そうだよな」  そう言う雄介に、笑顔で答える望。

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