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ー雪山ー182

「たまにはいいよな? こういうところもさ……」  望も温泉に浸かり、雄介が座っている隣へ向かう。そして、岩に腕を預け、顎を乗せると、望は雄介のことを見上げる。 「せやな……確かにたまにはええのかもな。それに、今日はホンマにスキー日和みたいやしな。しかし、二日連続で晴れるなんてなぁ。まぁ、夜中には雪が降っているみたいやけど、雪が溶けてしまうんじゃないかって心配になるんやけど」 「でも、昨日の夜は降ったんだろ? だってさっき新雪踏んできただろ?」 「せやったな……」  雄介は肩まで浸かり、 「ホンマここにおると疲れが取れそうやわぁ」 「そっか……雄介はお風呂に浸かる派だったもんな」 「そうやないと、疲れが取れた気せぇへん?」 「確かにそうなのかもしれねぇんだけどさ」  そんな話をしながら雄介と望はお風呂から上がり、コテージへと戻っていく。 「めっちゃ、気持ち良かったわぁ」 「おう! おかえり! それじゃあ、飯食ってからスキーしに行くか!」 「おう! せやな……」  今度は四人でコテージを出ると、四人はまず食堂へと向かう。  食堂では昨日の昼間とは違い、朝メニューもあるらしい。  しかも朝定食は本当に安い。 「今度からもここにしようか?」 「そだな……」  和也の言葉に返事をしたのは珍しく望だ。昨日はあんなにスキーに行きたくないと言っていたのに、今日の望は昨日と違って行く気満々らしい。一体、どういう風の吹き回しなんだろうか。本当に望の性格というのは分かりやすいようで分かりにくいのかもしれない。それはそれで猫みたいな性格だと思う。

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