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ー雪山ー187

「そうですよね。でも、きっと和也さんたちが助けに来てくれますよ。だから、ここで待ってる方がいいと思いますから」 「そうだな。とりあえずさ、もしもの時のために飴やチョコがポケットに入ってるから、それでしばらく過ごせるだろ?」  望はウェアを叩きながら言うと、裕実の方もクスリと微笑む。 「僕も持ち歩いていますよ。普段からドジなんでね、何かが起こる前に行動してるんです」 「そっか……それなら少しは大丈夫だよな」 「はい!」  望は仕方なく床に腰を下ろし、ため息をついた。  窓の方に視線を向けると、もう暗くなり始めていて、不安な気持ちがより一層増してくるような気がする。  だが、今ここで自分が不安になってしまったら、裕実も不安になるだろう。だから、望はいつもの自分でいようと決めたのかもしれない。 「しかし、ついてないよなー。なんで俺がスキーに行くと不幸なことが起きるんだろう?」 「どういうことですか? その言い方だと、過去にも何かあったってことですよね?」  それを言って、一瞬望は「あ……」と思ったのだが、 「やっぱり見抜かれたか。まぁ、お前は見抜くと思ってたけど、なんとなくだけど、そういうとこあるよな? まぁ、彼奴らには内緒だけどさ。中学の時のスキー教室で足をやっちまって。それでスキーがトラウマになって行ってなかったんだけど、今回はお前たちが行きたい! って言うから仕方なく来たってわけさ。そしたら、今度は遭難かよ……って感じになったしな。やっぱり俺にはスキーは向いてないのかもな」  裕実はその望の告白を驚きもせずに聞いていた。

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