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ー雪山ー188

「やっぱりそうだったんですね。僕は最初から望さんはスキーができない人だって分かっていましたよ。最初にスキーの話をした時、望さん……僕が言ったことに顔色を変えてましたしね。僕はスキー教室の時に風邪を引いてしまって行けなかったけど、もし行っていたら骨折していたかもしれないって……って言った時にですよ」  その裕実の言葉に、一瞬目を丸くした望だったが、 「お前って、本当にすごいんだな。親父がウチの病院に呼んだ意味が分かったぜ」  初めてこうして二人きりになった望と裕実。二人の会話は変に盛り上がっているように思える。ただ、和也たちとは違って、二人とも相当中身が真面目なんだろう。真面目な話で盛り上がっているということだろうか。  だが、外はだんだんと暗闇の世界が広がってきていた。  東京とは違い、周りには何もない世界。昔の人たちは夜こんな世界にいたのだろうか。というくらい、望たちがいる山小屋周辺には何もない。  その時、木のドアが開く音が聞こえたような気がした。  その音に警戒する望と裕実。  誰かがここへと入ってきたのだろうか。だんだんと荒い呼吸が部屋の中へと入ってくるのが聞こえる。もちろん、足音も近づいてくる。  望と裕実は体も顔も強張らせ、音が聞こえてくる方へと視線を向けていた。 「裕実と望はここにいるのか?」  まだ裕実たちの姿が見えない死角から、裕実と望の名前を呼ぶ声が聞こえてきて、裕実と望はほぼ同時に視線を合わせ、ドアの方へと向かう。 「和也さん?」 「雄介?」  裕実と望が向かった先には、和也が雄介の肩を抱えている姿が目に入ってきた。  和也は口まで巻いていたマフラーを取ると、 「良かったー。ここに望たちがいてくれて……」 「たまたまあったからな。だから、吹雪がおさまるまではここに居ようと思ってたしよ」  そこまで望が和也に説明すると、 「ところで、雄介はどうしたんだ? 和也、雄介の体を支えているみたいだし、雄介の声が聞こえないんだけど?」 「ん? 説明は後でするからさ……とりあえず、雄介の応急手当てくらいはしないと……」  和也はそこまで言うと、雄介の体を暖炉側まで運んでいく。 「へ? え? 治療って!?」

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