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ー雪山ー189

「ん? さっきね、上から滑って来る時にスピードが出ちゃって、吹雪で視界が悪くてコースを外れたらしくてさ。木に足をぶつけたらしいんだよな」  和也は簡単に望に説明すると、雄介の履いているズボンを破り始めた。 「和也! 後は俺がやるから!」 「ああ……」  和也はそう言われて雄介から離れ、望へとバトンタッチした。 「とりあえず、和也! 服を脱げ!」 「はぁ!? 俺? ってか、いきなり俺なんだよー」 「中に着ているTシャツを包帯代わりにするから、脱げって言ってんの!」 「そりゃ、Tシャツは着てるけどさ、でもな……何で俺なんだよ」  そう言いながらも、和也はブツブツと文句を言いつつ服を脱ぎ、一番下に着ていたTシャツを望へ渡した。 「……ってか、望だって一番下にTシャツ着てるんじゃねぇのか?」 「俺は寒がりだからな」 「……って、そこそういう問題なのか?」  とまた小さな声でブツブツと呟く和也。そう言いながらも、和也は床に腰を下ろした。  一方、望はウェアを一枚脱ぎ、内ポケットに入れておいたウェストポーチから応急手当て用の道具を取り出し、床に広げた。  それを見た和也は、 「……望?」  望はその言葉だけで何が言いたいかを理解したようだ。 「当たり前だろ? 普段からこういうものを一応持ち歩いてるんだよ。もしも何かあった時のためにな」 「まぁ、確かにそうなのかもしれねぇけどさ」 「とりあえず、雄介の足が折れてるみたいなんだよな。だから、和也、何か添え木になるようなものを見つけて来てくれねぇかな? それと、滑れるようならコテージまで行って応援を呼ぼうかとも思ったんだけど、この吹雪じゃあ、和也も危険な目に遭うだろうし。この天候じゃあ、ヘリも飛べないだろうし。やっぱり、天候が回復するのを待つしかねぇのかな?」 「ま、いいや……とりあえず、添え木くらいは探して来るからさ」 「ああ、そうしてくれると助かる」  和也はそう言うと、部屋の中をキョロキョロと見渡し、添え木になるような物を探し始めた。  それに加わったのは裕実だった。裕実も一緒になって探し始めてくれた。  とりあえず二人が探している間に、望は雄介の足の様子を確認し、足を両手で包み込むように触れて、太ももから下の方へと触っていると、 「……っ」  痛そうな声を上げる雄介。 「ごめん……痛かったか?」 「ん……ちょっとな……」

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