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ー雪山ー197

「それ、一人で解決できる問題なのか?」  望は腕を組みながら和也のことを見つめる。 「できるに決まってんだろ……だから、誰にも話さなかったんだからな」 「そこまで言うんだったら、新城に対しての策みたいなのがあるんだろうな?」  望の言葉に黙ってしまう和也。策なんてものは一切考えていない。だから、その望の言葉に言い返すことができなかったのだ。 「黙っているってことは、何も考えてないってことだろ?」  普段、和也と望がふざけている時は、和也の方が何倍も口が上手いのだが、こういう時の和也は完全に望に言葉負けしているような気がする。  こういう時の望というのは、相手の顔を見て仕草や言葉を観察してくるのだから怖い。  和也は諦めたようにため息を吐くと、 「じゃあ、望には何か策があるのか?」 「そんなの、俺にあるわけねぇだろ? だけど、今こそここでみんなで話し合えば、いい案が出るんじゃないかと思って話し始めたんだよ。逆に言えば、みんなで集まって真面目な話をする機会なんてないじゃねぇか」  確かに望の言う通りかもしれない。例えば、今日、このままこの山小屋ではなく、コテージで過ごしていたとしたら、ラスト一日の夜をラブラブでイチャイチャな夜にしていただろう。もしかしたら四人で、ということにもなっていたのかもしれない。だから、こんな真面目な話をできるのは今しかないのかもしれない。 「まぁな……」  和也は申し訳なさそうに頷きながら答える。 「とりあえずさ、俺は裕実に聞きたいことがあるんだけど。もし、和也が引き抜かれて、違う病院で働くことになったらどうするつもりだ?」  いきなり望にそんな話題を振られた裕実は目を丸くしたが、すぐにいつもの真面目な表情に戻すと、 「僕は和也さんについて行きます!」 「やっぱり、そうなるわけか」  望はため息混じりに言うと、 「ホント、お前らは呑気でいいよなぁ。恋人が行ってしまったなら、その後について行けばいいで済むんだからさぁ。他の患者さんやスタッフのことは考えていないってことになるんじゃねぇのか?」

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