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ー雪山ー201

 望はチラリと和也と裕実の方へ視線を向けると、二人はイチャイチャとくっつき、ふざけている姿が目に入ってくる。その二人の姿を見て、望はため息を漏らすのだ。 「どないしたん? 浮かない顔して……まさか、アイツらが羨ましいとかって思うとるんじゃないやろな?」  そう雄介はふざけて言ったつもりだったのだが、 「案外……そうなのかもな……」  と望は雄介の耳に届くか届かないかの声で言ったつもりだったのだが、どうやら、その声は雄介に届いていたらしく、 「ほなら、俺らも……」  雄介は少しだけ半身を起こして望の肩へと手を伸ばしたのだが、望は瞳を座らせて、 「ったくー、お前って本当にすぐに調子に乗るのな。だから、そういうことをお前の前ではあんまり言いたくねぇの。だけどさ、本気で俺はお前にだけはそう思ってるってことなんだからな」  望は切なそうな顔をして雄介を見つめる。 「それはいいんだけどさー、雄介、大人しくしてないと多分、痛くなると思うぞ……」  望は肩に回されていた雄介の腕を離し、そっと雄介の体の横へと下ろす。 「また、体が治ってからな」 「ああ、まぁ……そういうこっちゃな」  雄介は望の言葉に安心したのか、天井を見上げるのだ。 「それよか、和也……さっきの話はどうなんだよ。そこまで俺にしたんだから、話してくれるんだよな?」 「別にー、俺的には全然構わないんだけどな。それに、今は裕実がいるしな」  「裕実がいる」とは、一体どういう意味なんだろうか? 意味ありげな感じがする。 「あ、ああ……で?」  望は和也の言葉に返事はしたものの、やはり和也が今言った意味が分からないのか、首を傾げながら返事をする。  望がふと腕時計に視線を向けると、時刻はもう既に十二時を過ぎていた。  相変わらず外は吹雪が止んでいないように思える。今日一日だけなら、なんとか精神的にも体力的にも保ちそうな感じなのだが、また明日も明後日もここにいるとなると、気持ち的にもヤバくなってくるのかもしれない。

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