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ー雪山ー205

 和也は、望の話に相槌を打ちながら真剣に聞いていた。 「……で、最終的に、望はその性格と抱き方が下手という理由で別れたってことなのか?」 「……ったく。一番言って欲しくないところを強調して言うなよな」  望は再び顔を赤くしながら和也を見上げる。  そんな望の姿に、和也は今度はニヤけたような表情を浮かべ、 「じゃあ、望はその彼女にどんな抱き方をしたんだ?」 「そ、それは……普通に?」  なぜか望は和也から視線を外し、何かを誤魔化すような感じで答えているように見える。  そんな望の様子に和也が気付かないはずがない。望がまだ何か隠していると悟った和也は、さらに問い詰めるように質問を続ける。 「ふーん……普通にねぇ。普通にだったら、最後に別れるときにそうは言わないんじゃねぇのか? なぁ、望……ホント、どんな抱き方したんだよー」  和也はその話をもっと聞きたくて、上半身を乗り出してまで問いかける。 「あー! 分かったから、顔を近づけるんじゃねぇよ」  望はそう言って和也の前に手を置き、彼を遠ざける。 「だからな……俺、まだ、その頃は大学生で、合コンかなんかで人数合わせに付き合わされて、その帰りに女の子から告られて、それで付き合い始めたんだ。まぁ、一応デートとかもしてたけど、大学生だったから金は親父から小遣いをもらってた。それでデート代はどうにかなったんだけど、俺って小さい頃から勉強漬けだったから、そういうことに関してはまるっきり知識がなかったんだよ。だけどさ、その彼女と付き合い始めて三ヶ月くらい経った時かな? 彼女が俺に『抱いてくれないの?』って言ってきて、そこから俺は学校の勉強とそういう知識的な勉強を始めたんだけど、どうにも俺にはそういうことが恥ずかしくてできなかったんだよな。それで、ある日、俺は彼女に無理やりホテルに連れ込まれて、とりあえず、知識のない頭をフル回転させて挑んだんだけどさ……あれだ、彼女を満足させる前にイっちゃったんだよ」  望にとっては、こんな恥ずかしい話をすること自体、顔から火が出るくらい恥ずかしいことだったが、なぜか今日は和也に話してしまった気がする。 「確かにそれは……やっちまったって感じがするよな? うんうん……まぁ、そりゃ、彼女も望を振るよな」 「そういう和也はどうなんだよー」

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