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ー雪山ー206
「ん? 俺、俺は告られて振った方っていうのかな? やっぱり、人生の中で一度くらいは女性との経験があるんだからさ。そういや、俺の時は高校の時に彼女が既にいたなぁ」
和也は遠い目をしながら胡座をかいて腕を組む。
「確か高校一年のバレンタインの時だったかな? 俺の下駄箱にラブレターが入っているのは日常茶飯事だったけど、バレンタインの時は特別に入ってた……っていうのかな? で、あれだ……高校には一人はいるだろ? マドンナ的な存在がさ。そいつは女子からも人気があって、まぁ、そいつも人気者だったんだけど、バレンタインの時に俺の下駄箱にそいつからのチョコが入ってたんだよ。それがどうやら本命だったんだよな。しかも、他の奴らとバレンタインチョコを確認している時に確かに他の奴らもそのマドンナからチョコは貰ってたんだけど、確実に俺のは本命っていうのか、チョコの形も違ってたし、手紙も入ってたんだ。そうそう! そいつって、学校でマドンナって言われているだけあって、金持ちで、顔も可愛いし、美人だったんだよ。まぁ、俺の方は試しにって感じでちゃんとホワイトデーに返事をしたんだ。それで、一応、付き合い始めたんだけどさ。そのマドンナは本当にお嬢様だったから、毎日のように執事っていうのかな? そいつの送り迎え付きで、学校に行く時も車だったしな」
和也はそこまで話すと、一旦話を切り、深呼吸してから再び話を続ける。
一方、望の方は確かに和也にこの話を振ったのは自分だったのだが、どうやら飽きてきたのと疲れが出てきてしまったのだろう。頭をコクリコクリとし始めていた。頭が落ちてくると目を開ける、という行動を繰り返している望。
それに気付いた和也は頭を掻きながら、望が一番目を覚ましそうな言葉で彼を起こす。
「望! 雄介が危なくなってもいいのか!?」
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