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ー雪山ー208
「そっか……それで、次は俺を狙うことにしたんだな」
「ま、そういうことだなぁ。専門学校の時は確かに告白はアイツからだったけど、望のことは俺からだったし、男に告白するのって結構勇気がいったりしてさ、俺的にはスッゲー悩んでたんだからな」
「そうだったな」
和也はちょうど会話が途切れたところで腕時計に視線を向けると、まもなく時計の針は四時を指そうとしていた。
「そろそろ、裕実と交代するな……望……とりあえず、頑張れよ」
「ああ、ありがとう。おやすみ」
望が和也にそう言うと、和也は裕実を起こす。
「裕実……時間だ。起きろ……」
「んー!」
最初は気だるそうな声をしていた裕実だったが、
「もう時間だったんですか? 分かりました! 和也さん、今度は和也さんがゆっくりしてくださいね」
そう言う裕実。どうやら裕実は寝起きが良いらしい。それとも、裕実は機嫌が悪いことが少ないのかもしれない。機嫌が悪い時というのは和也に関することで嫉妬している時だけなのだろう。
きっと裕実は目覚めが良いのだろう。起きた途端に和也に向けて笑顔を見せているのだから。それとも今日は寝床が布団ではなく木の上だったからかもしれない。もしかしたら体が痛かったからなのかもしれない。
「望さん! 今度は僕がやりますよ!」
「あ、ああ……ありがとうな」
望は裕実に笑顔を向ける。
「構いませんよ……僕にとっても雄介さんは僕たちの仲間ですから、望さんが思うように失いたくない人物ですからね」
「ああ、そうだな」
ふと望が気付くと、和也はもう寝息を立てて眠ってしまっていたようだ。和也も頑張ってくれていたが、相当疲れていたのだろう。
「そういや、前にお前と約束してたよな? 和也のことを話すって……」
「ああ、はい! 約束したこと、覚えてますよ。確か、あの時でしたよね? 望さんと雄介さんがハイジャックに遭って、望さんが病院に行ってる時のことでしたっけ? はい! なので、話を聞かせてくださいよ」
「ああ、いいぜ……」
そうだ。確かに望と裕実はあのハイジャックがあった時に、その約束をしていたはずだ。しかし、望と裕実が二人きりで話す機会がなく、今までその約束は果たされていなかったが、今回こんな機会ができたおかげで、どうやら約束が果たせそうだ。
「そうだなぁ……何から話したらいいんだろう? どんなことからお前は聞きたい?」
「そうですね……最初の頃の和也さんの話とか? 確かに和也って今はベテランみたいなんですけど、最初の頃はどんな感じだったのかな? って思いましてね。それを和也さんに聞いてもいいんですけど、きっと和也さんが話してくれると、美化したり、ふざけたりしそうなんで、それを望さんから聞いた方がいいかと思いましてね」
「あー、確かに……」
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