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ー雪山ー209
確かに和也にはそういう一面があることは、望も知っている。だが、それは望が裕実が病院で働くようになってから気づいたことであり、裕実はすでにそのことを知っていたのだろう。
「そうだな……和也だって最初は使えなかったぞ。仕事はできるんだけどさ、なんていうのかな? それが空回りしてたんだよな。慌てなきゃできるのに、アイツは俺について来ようとして、一人でパニックになったりしてたからな」
「へぇー、和也さんにもそんな時期があったんですね」
「ああ、でも、一週間くらいしてからかな? 冷静になれたみたいなんだよな。アイツ、記憶力はいいみたいだからさ、仕事はすぐに覚えられて、それからは、俺の方が楽になったっていうのかな? まぁ、和也に関してはそんなに話はないかもな?」
「じゃあ、望さんって、和也さんに何回か抱かれたって言ってましたよね? 和也さんに変態チックなことってされました?」
裕実はその話題を小さな声で聞く。もし普通に話をして和也や雄介を起こしてしまったら!? と思ったからかもしれない。
そんな質問をされた望は、和也に抱かれた日のことを思い出してしまったのだろう。顔を赤くしながら、顔を俯けて頬を掻いている。
だが望は、なぜか裕実には素直というのか、これが和也や雄介からの質問だったら怒ったり拗ねたりして言わなかったりするところなのだが、何故か裕実からのそんな質問に対しては若干恥ずかしがりながらも答えるようだ。
「ま、まぁ……確かに和也の場合には雄介と比べたらノーマルではないって感じだよな?」
そう言いながらそっぽを向く望。
「やっぱ、和也さんって変態ですよね?」
「まぁ、アイツはすでに専門学校時代に男と経験があったって言ってたしな。だから知識があるってことなんじゃねぇのか?」
望はそう言いながら窓の外へと視線を向ける。部屋の中と外の気温差があるのだろう。窓は曇っているようだ。だが、段々と闇が明けてきたのか、薄っすらと明るくなってきているようにも思える。そして、風も止んできたようで、窓を叩く音も聞こえなくなっていた。
それを確認してホッと胸を撫で下ろす望。
その様子に気づいたのは裕実だ。
「どうしたんですか? なんか急にホッとしたような表情してるんですけど?」
「ん?」
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