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ー雪山ー217
望は和也に歩み寄り、気になったことを聞いてみることにした。
「望と俺で、雄介のことを担架で運んで行くしかねぇんじゃねぇのか?」
「そ、そんなこと、無理に決まってるだろうが……」
「じゃあ、雄介はどうするんだよ」
そこまで和也に言われ、望は黙ってしまう。もう少しで雄介を助けられると思っていたのに、ここに来て助けられないということが分かったからだ。
「下手でもいいのか?」
望はぼそりと言った。
「俺がリードして行くからさ」
「分かった……」
望がそう言うと、和也は
「嘘だよ……」
「はぁ!?」
望は和也を見上げた。
「ちゃんと、怪我人を運べる救助隊の人も連れてきたし、そこは大丈夫だからさ。ただ、望を試したっていうのかな?」
望は和也のその言葉に息を吐いた。
「そういうことか……。もう、分かったよ。そう、俺はスキーが本当はできないの。前にスキーで足を折ったことがあるからさぁ」
「そんなことだろうと思ったぜ。ま、いいや、とりあえず、外でその救助隊の人達を待たせているからさ」
和也はそう言って、救助隊を中へ入れ、雄介を下へ運んで行く。
「とりあえず、俺達は下までは自力で行くしかないよな」
「ああ、そうだな」
望は暖炉の火を消すと、三人は雄介を追うようにして下まで滑って行く。
すると、近くにドクターヘリだろうか、ちょうどヘリも到着したらしく、既に雪が避けられた場所へ降りてきた。
「とりあえず、俺は雄介に付いて行くからよ」
「そだな……その方が雄介も安心できるだろうしさ」
「ああ……じゃ、悪いが、俺は先に帰るからな」
「ああ……」
望と雄介はヘリに乗り込み、望は東京にある春坂病院へ向かうように指示すると、ヘリは東京へと飛び立って行った。
「望がいるなら安心だよな?」
「そうですね。それに、僕達の方は車があるので、そちらで帰らなきゃいけないですしね」
「まぁな……そういうことだ」
二人はヘリが行ってしまった後、会話を交わし、一旦荷物があるコテージへと戻って行った。
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