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ー雪山ー218

「悪い……あと少し寝かせてくれねぇかな? じゃねぇと、東京まで俺の体が保ちそうにねぇからな」 「分かりました」  今まで大変な思いをし、さらに雄介のことでも気を張っていたからか、二人は急にコテージに戻ってきた。雄介も無事に病院へ運べたことで、体から力が抜けてしまっていた。特に和也は疲れが一気にきたのか、ベッドの上へうつ伏せの状態で倒れ込むように横になる。 「大丈夫ですか?」 「ああ、今のところはな……飯も食いたいところだけど、とりあえず、俺は寝たいし、そこはまた起きてからかな?」 「分かりました。それじゃあ、僕も寝ますよ」 「ああ、おやすみ」 「背中、揉みましょうか?」 「ああ、そうだな……ありがとう」  裕実は和也のその言葉に微笑み、和也の背中を揉み始める。 「あぁー! すっげぇ、気持ちいいー!」 「だからって、変な声出さないでくださいよー」 「別に出してねぇって……お前が意識し過ぎなんじゃねぇのか?」  和也はニヤニヤとした表情を裕実の方へ向ける。 「もうー! 和也さん! わざとなんじゃないんでしょうか?」 「当たり前だろうが。お前ってやっぱりからかいがいがあるよな? だから、ただ単にからかっていただけだ。でもさ、気持ちいいのは事実なんだからな。だってさ、俺たちなんかマッサージするのって日常茶飯事だろ? だから、普通に裕実がやってくれるのって気持ちいいんだけど」  そう和也が言うと、裕実は急に満面の笑顔を和也に向ける。 「なんだよ。その満面の笑顔はさ……」 「なんでしょうね? なんでか分からないんですけど……嬉しいのかな?」  そう言う裕実に、和也は首を傾げる。だが和也の性格上、一瞬、気にしたようにも見えたが、気にしないことは気にしないのか、身体から完全に力を抜いて、裕実に体を任せたようだ。  やはり、和也は本気で疲れていたのだろう。マッサージをされながら、そのまま夢の中へと落ちていってしまっていた。  裕実も和也のそんな姿に微笑むと、和也の横に仰向けになって、ゆっくりと瞳を閉じる。

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