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ー雪山ー221
裕実も和也の話に同調するように言う。
裕実までが乗ると、どうしても気になってしまうのは何故だろうか。望は急にその話が気になってきた。
「あー、分かったからさ……雄介が顔を赤くした理由を聞きたいから、話してくれよ」
望がもう降参したかのように言うと、和也が口を開く。
「だからさ、雄介って今回は足を折ってんだろ? だったら、しばらく歩けないんじゃねぇのか? トイレとか、簡単に行けるわけじゃねぇだろ? だから、それを望にやらせるって雄介が言うんだよ。だけど、それはまずいんじゃねぇか? だってさ、もしそれで望にやらせたら、勃っちまってトイレどころじゃなくなるって言ったんだよー! ってなわけで、俺か裕実がやってやるって言ったら、雄介のやつ、顔を赤くしちまったんだよ……。だから、雄介も可愛いとこあるなーって」
「僕たちはもうそんなこと、当たり前だから抵抗とかていうのはないんですけどね」
「ふーん……そういうことか……」
望は腕を組んで考えた。
「なら、そこは和也たちに任せたほうがいいな? 出すもんは出してもらわないと困るしさ」
「ちょ……望までそんなこと言うんかいなぁ」
「当たり前だろ? まぁ、普通のことでもあるけど、ちょっとお前をからかってるだけだよ……いつものお返しってやつだ」
望は顔を伏せ、口元を押さえて肩を震わせて笑いを堪えている。
きっと、和也や裕実に世話をされて、雄介が顔を赤くして恥ずかしがっている姿を想像してしまったのだろう。
「あー、もう! 望まで笑いやがって、もう! 最悪やっ!」
雄介はもう誰にも赤くなった顔を見せたくなかったのだろう。布団の中に潜り込んでしまった。
「我慢したってダメだからな……出すもんは出さないと、今度は違う病気になっちまうぞ」
「あー、もう! そんなことは分かっとるわ!」
そんな雄介の姿に、他の三人はクスクスと笑っていた。
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