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ー波乱ー5
「なんだよー、その興味なさそうな返事はさ……まさか、最近、望は仕事で忙しくて、仕事では雄介に会ってるけど、プライベートでは会ってないからって、妬いてんのか?」
望は腕を組みながら和也から視線を外し、
「ま、まさか……そ、そんなわけねぇじゃねぇか……」
「本当か!? なら、俺の顔見て、いや、むしろ目を見て話せんじゃねぇのか? さっきもさ、雄介がそうだったんだよな。人間、嘘をつく時って、人にもよるけど……相手の目を見れなくなるんだよな」
和也のその言葉に、反撃できないのか、望は黙ってしまう。
「ビンゴ……そんなに雄介に会いたければ、会ってくればいいんじゃねぇのか? ま、まだアイツが入院して数日しか経ってねぇのに、もう望は雄介不足なのか?」
その和也の言葉が望の癇に障ったのか、それとも諦めたのかは分からないが、
「あぁ! そうだ! アイツが入院してから、キスもしてねぇんだぞ! 分かるかぁ!? この俺の気持ちがさ……」
望はそう言って興奮気味に席を立つが、和也はいたって冷静だ。
「ならさ、俺に八つ当たりなんかしてねぇで、素直になって雄介のところに行けばいいんじゃねぇのか? それで、望が雄介に向かって『キスしたい』って言えばいいんじゃねぇの?」
「そんなこと、お前に言われなくても分かってるんだよ」
望はため息を吐きながら再びソファに腰を下ろす。
「なら……」
「バーカ……お前は俺の性格知ってるだろうが。俺が雄介に向かって簡単にそれを言えたら苦労しねぇよ」
「本当、望はそういうところ素直じゃねぇんだな」
「分かってる……」
和也はやっと認めたかのように微笑みながら、
「なら、俺がなんとかしてやろうか?」
と、望の様子を伺いながら聞いてみる。
「そんなこと、お前に頼むわけにはいかねぇだろうが……」
「んじゃあ、望は素直に雄介に言えるのか? 『キスしたい』って……」
和也は望の言葉をすぐに切り返す。
一方、望はすぐに反応できないようだ。
「あー! もういい! 後は自分でなんとかするからよっ!」
「本当に大丈夫なのか?」
和也は望の顔を覗き込むようにして見る。
「大丈夫だって言ってんだろ。あんまり、人の顔を覗くんじゃねぇよ。悪いが、もう俺はお前には興味ないからな」
「それは、望がもう雄介にしか興味がないってことか?」
「あ、ああ……そういうことだ」
望は席を立ち、着替えに向かう。
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