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ー波乱ー7
毎朝、和也は遅刻しないように病院に来ていたが、職員用の駐車場に着くと、いつも空いていた隣のスペースにシルバー色の車が停まっていた。
この病院で働いているスタッフは皆、所定の場所に車を停めることになっているため、和也は一瞬不思議に思ったが、「新しいスタッフが入ったのか……」と考えながら部屋へと向かった。
部屋に入ると、望ではない背の高い誰かの白衣姿が目に入ってきた。
この病院で働いているスタッフの中に、あんなに背の高い医師はいなかったはずだ。和也は首を傾げながら考えていると、何か思い当たる節があったのか、急に顔色を変えて後ずさりし、再びドア付近へと戻った。そして、その人物と望が話している様子を伺いながら聞いていた。
「どうも、お久しぶりです。吉良先生、前にお世話になった新城颯斗です……」
颯斗は笑顔で挨拶をしてきたが、望は笑顔ではなく、むしろその新城に対して顔を引きつらせているようだった。新城にはいい思い出がないからだ。それでも、望は大人の常識として自己紹介を済ませた。
「……で、和也のことを狙っているあなたが、なぜうちの病院に?」
望はストレートに尋ねた。
「人聞きが悪いなぁ。僕は真面目にこの病院で働きたいと思って、ちゃんと面接だって受けたんですよ。それで、受かった……じゃいけないんですか? それに、面接してくれたのは、あなたの父親である院長でしたからね」
確かに、この病院の院長は望の父である裕二だ。父が採用したのであれば、望にはまだ人事に口出しできる立場ではなく、受け入れるしかなかった。
「……で、病院のシステムが他の病院とは違うと聞いています。あなたの父である院長が、吉良望先生のところで働くようにと言われましたし」
最初のうちは指導医の下で働くことが一般的だが、それにしても望はまだ指導医の域には達していないように思える。どうして新城が望の指導医になったのか、その理由は謎だった。しかし、院長が決めたことである以上、望は諦めるしかなかった。
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