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ー波乱ー11
「だから、これから見つければいいんじゃねぇのか?」
和也は「んー」と唸りながら頭を抱えてしまっている。
ふと気づくと、望も和也も、いつのまにか食堂にたどり着いていた。
望は、一応、後ろについて来ていた颯斗に声をかける。
「お昼はここで食べるんですよ」
「ここで、ですか」
颯斗が確認するように答えたその瞬間、どうやら裕実が後ろから来たようだ。
颯斗も誰かが後ろにいる気配に気付いたのだろうか。後ろを振り向くと、
「君が本宮さんか」
颯斗がそう言うと、和也と望、そして裕実の三人は目を丸くして颯斗を見上げた。
だって、そうだろう。和也と望に関しては、以前颯斗が入院していた時の患者で、さらにスーパーで出会った人物だから、和也と望の名前を知っているのは分かる。だが、まさか裕実のことまで知っているとは思っていなかったのだ。
驚いた表情で望たちが颯斗を見上げていると、颯斗は完全に裕実の方に体を向けて、
「本宮さん……今日からこの病院で働くことになった新城颯斗です。これから、よろしくお願いしますね」
と、紳士的に話しかけ、右手を差し出した。
だが、突然声をかけられた裕実はどうすればいいのか迷っているようだ。裕実はふと和也の方に視線を向けると、和也も望も何故だかいい顔をしていないように見えた。しかも、二人は顔と手を交互に振っていた。
そんな二人の行動に、裕実は颯斗の顔と和也たちの顔を交互に見つめるしかなかった。
それに気付いた颯斗は、
「まぁ、そういうことだというのは分かりましたよ。別に僕の方は気にしていませんけどね。あなた方がそういう行動をなさるのでしたら、僕の方にも考えがありますし」
「行動って……ただ、俺たちは新城先生の行動に警戒してるだけだろ? 和也に気があるって分かってるんだったら尚更なんだからな」
「でも、僕の方は決意させていただきましたから、止めるということはしませんからね」
そして、颯斗は一人で食堂に入っていった。
食堂の前に残された三人。
「あの人って、もしかして、スキーの時に望さんが言っていた方ですか?」
「流石に分かったか」
「望さんや和也さんの行動を見ていれば分かりますよ。それに、名前の方も頭の隅にありましたからね」
「そっか……」
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