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ー波乱ー12
「裕実さ、アイツの研修期間が終わったら、お前と組むらしいんだ。だから、気をつけろよ。隙を見せたら、何されるか分からないからな」
和也は裕実の肩に腕を回し、食堂へと足を踏み入れた。
「その時はもちろん、和也さんが僕のこと守ってくれるんですよね?」
「あ、ああ……なるべくな。絶対とは言えねぇけど、アイツには俺も自信がない。でも、出来る限りお前を守るから」
和也の言葉とは裏腹に、颯斗という存在が和也にとって恐ろしい相手であることが、額に滲む汗から伺えた。
「和也さん……?」
裕実は心配そうに和也を見上げる。
「あ、ああ、大丈夫だって! お前のことは絶対に守るからさ」
「そんなことじゃないですよ。よく考えてみてください。新城先生が気にしているのは、僕のことじゃなくて、和也さんのことなんじゃないですか? だから今回は、和也さんが僕を守るんじゃなくて、僕が和也さんを守る番だと思うんです。和也さんにはいつも助けられているし、今回は僕が守りますからね!」
裕実は笑顔でそう言ったが、和也の表情は晴れない。
和也がみんなに相談した時、颯斗はまだこの病院に来ていなかった。しかし、颯斗が働くようになった今、これはもう和也だけの問題ではなくなった。望にも、そして裕実にも関わってしまった以上、事態は和也と颯斗だけの問題を超えてしまったのだ。
三人は食事を受け取り、今日も一緒に食事を始める。
「なあ、このこと、雄介にも話してみたらどうだ?」
「雄介……?」
「お前が今回の件で新城に太刀打ちできそうにないなら、雄介に相談するのも手だと思ったんだけどさ」
「ありがたいけど、さすがに雄介には相談できねぇよ。それに、前に話した時も、これは俺の問題だから、みんなを巻き込みたくねぇって言ったしな」
「もう俺たちはとっくに巻き込まれてるんだから、気にすんなって」
望の言葉に、和也は息を吐く。
「そうだったな。今はとりあえず、雄介には関係ない話だし、雄介まで巻き込む必要はねぇだろ?」
そう言うと、和也はお盆にある料理を一気に口へと運んだ。
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