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ー波乱ー13

「でもさ、さっき、アイツ、裕実のこと知ってたようなんだぜ。下手するとお前の周りの関係者は知ってるってことになるんじゃねぇのか?」 「そうなのかもしれねぇけど、本当に今のところは雄介は一番関係ないんだからさ……まだ、巻き込む必要はねぇんじゃねぇのか? スキーの時だって、聞いていたのかもしれねぇけど、あの痛みの中で話に集中できてたか? っていうのは分からねぇしさ。それに、雄介に話したところで何か解決方法があるっていうのなら話は別なんだけどな」 「お前なぁ、まだ、俺たちのこと信用してねぇんじゃねぇのか? いや、迷惑掛けたくねぇって気持ちは十分に分かるんだけどさ。だけど、スキーの時に言ったじゃねぇか、力にはなるかもしれねぇだろ? ってさ……お前は仲間のこと信用できねぇのか!?」  そう望は真剣な瞳で和也のことを見つめる。 「でもな……」 「あのなぁ! 今、俺たちが仲間割れしてどうするんだよ! どれだけ、裕実も心配してるか分かってるのか!? 分かってねぇから、そんなこと言えるんじゃねぇのか? 何でお前はそういうところ素直じゃねぇんだよ。お前の取り柄の一つだろ? 素直なところがさ……」  あまり大きな声では言ってない望なのだが、今自分が思っていることを望は和也へとぶつける。  その望の言葉に言葉を失ってしまっている和也。  確かに今までは望のことを和也が守ってきていたのだが、今回のことに関しては望が和也のことを守ってあげる番なのかもしれない。 「そうですよ! それに和也さん一人で解決できない問題だって、みんなで協力したら解決できるのかもしれないんですからね」  和也は少し考えた後に顔を上げると、 「お前たちの気持ちはよーく分かったよ……ありがとうな。なら、今回のことについては本気で頼らせてもらおうかな? 何か今回のことで仲間の大切さを分からせてもらったような気がするしさ」 「今まで和也が俺にしてきてくれたことが、今返ってくると思ってくれたらいいんじゃねぇのか? 俺の方は今まで和也には十分助けてもらったって思ってるしさ」 「そうだな。よし! 午後からも頑張るぞ!」  和也はそう気合を入れて立ち上がると、望の方に視線を向けて、 「なぁ、望……アイツにはもう敵対心むき出しにしなくていいぞ。ちょっと、それで、俺の方が様子見たいからさ」 「ああ、まぁ、それくらいなら構わないぜ」

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