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ー波乱ー14
そして午後からの診察時間になると、望は再び診察を颯斗に任せた。
「流石ですね。俺の親父が選んできた人物だけのことはある」
「急にどういう風の吹き回しです?」
颯斗は望を見上げると、
「なるほど、そういうことでしたか。急に吉良先生の態度が変わったのは……さっきのお昼休みにみんなで話し合われたということですね? それで、私に対する態度を変えた、というわけですか……」
その颯斗の言葉に、和也と望は視線を合わせると、和也はどうやら怒っているようだ。「お前なぁ!」という表情を望に向けて送っているのだから。
どうやら望はこういうことが苦手らしいと、和也は悟る。
二人の行動に、颯斗は再びクスリと笑い、
「まだまだですね。吉良先生はどうやら言葉での誘導が苦手のようですし、その吉良先生の言葉で梅沢さんの計画が失敗に終わったということでしょうか? これは、やはり、梅沢さん一人で行動した方がいいんじゃないんですか? 梅沢さんだって、足を引っ張るような人たちは頼りにならないでしょうから」
流石にその言葉に、和也はキレたらしく、ここはまだ診察室内だというのに、和也は颯斗の胸ぐらを掴み、食ってかかったようだ。
「俺の悪口はいくらでも言っていいけどな、望や裕実の悪口は言うんじゃねぇよ!」
「か、和也……! 止めろって! ここは、まだ、診察室なんだぞ!」
そう望は和也に向かって真剣な瞳を向けながら、和也の手を颯斗から離れさせる。
「それに今……お前が冷静でいられない気持ち、俺にも分かるからさ。それに、今、お前が冷静じゃなかったら……色々と俺たちが困るんだからさ」
普段の望は和也に対して素直ではないが、今の和也に対しては素直に自分の心を明かす。
「ゴメン……」
「気にすんな。俺はいっぱいお前に助けられてるんだからさ……今はそうだな……その時のお前と同じ気持ちって言ったら分かってくれるか?」
「あ、ああ、ありがとうな」
「よし! 今日はもう終わりだな!」
望はそう明るく言うと、診察室内の掃除を始め、望たちの部屋へと戻っていった。
そして望は颯斗に色々と説明した後、望と和也は一緒になって部屋の掃除を始めた。
三人になると色々と楽になることもある。しかも颯斗はできる人物だからこそ、望が簡単に説明すれば、それをやりこなしてくれる。今回は、望が和也と一緒になって掃除に回ることができたようだ。
そうして入院患者が消灯時間になる頃には、仕事が終わった。
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