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ー波乱ー15

「今日は早く終わったんだからさぁ、たまにはお前、雄介の所にでも行ってきたら?……で、例の事してきたらいいんじゃねぇのか?」 「ば、馬鹿かぁー!? 今はそんな事してる場合じゃねぇだろうが……」 「そう言ってるわりには、本当は雄介のとこに行きたいんだろ?」  和也はいつもの癖で、ソファに座りながら望を弄るのだが、 「本当に二人は仲がよろしいようで……最高のパートナーなんでしょうね」  と、二人の間を裂くように嫌味たっぷりで言う颯斗。  颯斗に対して、見上げたのは望の方だ。普段、温厚な性格の望だが、どうやら颯斗に対しては違うらしい。 「悪いですか!? 親友同士で仲良くしていては……親友なんですから、言いたい事を言えるという仲なんですしね」  望の言葉に驚いたのは、颯斗ではなく、むしろ和也の方だ。本当に今の望はどうしたのだろうか。颯斗が来るようになってから、急に和也の前でも素直になったような気がする。 「望……!?」  と、不思議そうに望の名前を呼ぶ。 「今までのお返しだと思ってるから気にすんな……」  と、望は笑顔で返してくる。  そんな望の真っ直ぐな瞳に、和也は今の望が本気だということに気付いたらしい。和也にとって、望は恋人ではなく友達止まりで良かったのかもしれない。恋人の関係であれば、望はここまで踏み込んでこなかったかもしれないと思ったからだ。  そんな望を見て、和也は心の中で『やっと望たちのこと、信用できるようになってきたのかな?』と思っているのだろう。  和也が何か考え事をしていると、颯斗の声が耳に入ってくる。 「……新人歓迎会みたいなのはしてくれないんですかね?」 「お前は何を言ってるんだ!? 今、この状況を見て、まさか、空気読めないっていう訳じゃねぇだろうな? ってか、お前ってさぁ、少し自己中なんじゃねぇ? 一応、ここではコンビの人と一緒に仕事することになってるんだ。だったら、その自己中を何とかしねぇと、本宮さんだって一緒にコンビ組んでくれなくなると思うぞ……。とりあえず、本気でここで働きたいと思っているのなら、その自己中を直さないとな。それと、仕事とプライベートはちゃんと分けろ! 俺も和也も、そういうところはきちんと分けてるんだからな……」  望はそこまで颯斗に今日のことを言うのだが、颯斗の方はその言葉を受けて腕を組んでいるところからすると、まだ余裕があるようだ。

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