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ー波乱ー22

「今日はもう新城先生、帰ってもよろしいですからね」 「分かりました……お疲れ様です」  望にはそう言っていた颯斗だったが、今度はソファに座っている和也へと近付き、 「昨日の夜はどこにいらしたのですか?」  と和也の真後ろから尋ねてくる。  その声に反応した和也が後ろを振り向くと、そこには颯斗のドアップがあった。 「ちょ、ちょっと! ビックリしたじゃねぇか! どこにいたんだぁー!? お前には関係ないことだろ? ってかさ、仕事終わったんだったら、さっさと帰れよな。俺は今、お前に付き合ってる暇なんかねぇんだからさ」  和也と颯斗の会話を聞いていて、何か疑問に思ったのか、望が二人の間に割って入ってくる。 「今の話の中で疑問に思ったんだけどさ、どうして新城先生は和也の行動が分かってるのかなー? って……」 「そこは企業秘密ですよ」 「まさか、和也の家に盗聴器とか仕掛けてるってわけじゃねぇよな?」 「そのまさか! だったらどうします!?」  とは言うものの、次の瞬間には、 「まさか、さすがにそこまではしませんよ。だって、そんなことしたら犯罪じゃないですか? そんなことして、今の仕事を辞めたくはないですからね」  そう真面目に言っている颯斗。さすがの颯斗でもそんなことはしなさそうだ。  余裕の表情を見せている颯斗。 「なら、いいんだけどさ」  だが、颯斗には和也の行動が完全に読まれているのか、和也の動向が分かっているのか、ニュアンス的にはそんなことを言っているようにも思えるが、今のところは分からないままだ。 「梅沢さん……もし、今日お暇ならお食事でも一緒にしませんか?」 「……って、もし俺がフリーの人間だとしても、お前の誘いに乗るわけがねぇだろ? ってか、それを分かっててわざと聞いてねぇか?」 「分からなくて聞いていたら、それはただの馬鹿でしょう。断られるの分かっていて聞いてるんですからね……」  どうして颯斗はここまで強気でいられるのだろうか。そこは和也や望からしてみたら不思議で仕方ないところだ。 「だったら、さっさと帰れって言ってんだろ?」 「そうですねぇ」  颯斗は急に考え始めると、 「誘いを断った場合、あなたの側にいるって言ったらどうします? それほど、僕はあなたから離れたくはないってことなんですよ……本当はね。どんなにあなたに冷たくあしらわれても、それは愛情の裏返しとして、プラス思考に取ってるって感じですかね?」 「ふざけるなっ! 俺は本気でお前のこと鬱陶しいとしか思ってねぇんだから、さっさと帰りやがれ!! 今は仕事だったから、大人しくしてたけど、プライベートの時間は別だからなっ! 容赦しねぇぞ!」  和也は立ち上がると、颯斗を睨み上げるのだった。

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