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ー波乱ー24
和也と望は雄介の病室まで来ると、ノックをして病室内へと入って行った。
すると、ベッドの上でまったりとしていた雄介が、ゆっくりと半身を起こして言う。
「やっと、来たみたいやな」
「まぁ、今はちょっと色々とあるんだよ」
「ま、今日はその“色々”っていうんを話してもらおうと思うとるしな。俺が知らんうちに色々とあったみたいやけど?」
「ああ……まぁ、ちょっとな」
望はそう口にすると、和也にも椅子を渡して、自分も椅子へと腰を下ろした。
だが、今日の和也は乗り気ではないのか、浮かない表情をしている。
和也も望に渡された椅子に腰を下ろすが、その様子は明らかにいつもとは違う。
「珍しいなぁ、和也が浮かない顔をしとるのはな」
雄介は今日、望よりも和也の方が気になるらしく、和也の顔を覗き込むようにして見つめた。
「ん?」
それに気付いた和也が顔を上げ、なぜか雄介の方へと笑顔を向けた。
そんな和也に気付いた雄介は、腕を組みながらベッドの背もたれへと背中を預けて言う。
「ええよ……無理せんでも。きっと、和也は俺に話したくないんやろうしな。やっぱ、そこはプライドみたいなのがあるんやろうし」
「でも……!」
「望……ちょっと、待ってくれへんか? まぁ、望は和也のことを色々と知っておるんかもしれへんのやけど……ここは、俺と和也の問題やし。そうそう、和也とは確かに友達やって思うておったんやけど、何やろ? 和也っていうのか、俺もなんやと思うねんけど、見えない壁っていうんか、なんかこう踏み込んではいけないような所があるっていうんか? そんなのがあるような気がして仕方なかったしな。こう、なんていうんかな? 敵対心っていうんかなぁ? ライバル心? そこのところはよく分からないのやけど、なんかこう俺と和也の前にはそんなものがあるような気がして仕方なかったしな。この機会にその壁というのか、殻というのか、それを壊す事が出来たらいいのかな? って思うとるんやけどな」
雄介は、そう前から思っていたことを口に出して言った。
きっと和也のような性格の場合、自分が持っているジョーカーみたいなのを出さないと、そういうところは口にしてこないだろう。そう思ったからなのかもしれない。
「……ったく。雄介にそこまで言われたら、言うしかなくなっちまうよな?」
和也はため息をつくと、覚悟を決めたように雄介の方に顔を上げて、
「雄介が入院している間に、本当に色々とあったんだよ。まぁ、正確にはスキーの話の前からだったんだけどさ。さっきさ、回診の時に新城颯斗って奴が来ただろ?」
「あ、ああ……確かに居ったな」
雄介は、和也の話を真剣に聞こうと思ったのか、和也の言葉に相槌を打つのだった。
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