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ー波乱ー41

「いきなりなんやねん……大きな声出して……手も止まってるやんか」  それにしても望にしては珍しくニヤニヤとした表情を浮かべている。 「今日は俺にやらしてくれねぇ?」  その望の言葉に、 「はぁ!? それは絶対にアカン! アカンって!」  そう雄介は言って首を思いっきり振ってまで否定している。 「つーか、何でいきなりそうな発想になったん!?」 「んー……お前見てたら、昔下手だって言われた事思い出してだな……だから、そう言ってみたんだけど……」 「まず、その発想で俺の中に挿れるって事はおかしいやろ?」  雄介は本当に焦ったように言葉を行動拒否続ける。 「だってよ……お前と俺のモノとでは大きさに差があるんだぞ……それのどこが違うのかな? って思ってさ」 「そこはやな……大きさとかって関係あらへんし、そういうのはテクニックとか経験なんやろな? ま、まぁ……そこは置いておいてやな……望だって挿れた経験あんねんやろ? その時はどないな感じやったん?」 「あー、んー、そうだな……その時はあまりにも必死過ぎて忘れちまったかな?」  その望の答えに雄介は半分転けたのだが、その体勢を直ぐに直すと、 「ほなら、望にはやっぱ、挿れられる方の素質があんねんって……。 挿れられている方が気持ちええねんやろ?」 「ああ、まぁ……そうなんだけどさ。 そこは雄介であって、他の人では絶対にそうならないと思ってるけどな。 ん……ぁ……まぁ、和也のはギリギリ受け入れたけどさ」  最初は雄介以外とはと宣言していた望だったのだが、記憶の奥底にある和也との事を思い出してしまったのか、最後の方はそう自信無さげに答えていた。 「ま、和也はしょうがあらへんけど……」  雄介の方はそう仕方無さそうに息を吐き頭を掻くのだが、どうやら、それを言ってしまった望の方が納得してないようだ。 「どないしたん? 挿れてみたいんか?」  雄介は望の事を覗き込むようにして見上げる。 「いや、それはいいんだけどさ。  雄介は、俺が和也に体を奪われて怒らないのかな? って思ってさ」 「そこは……怒れる訳ないやんかぁ」  雄介はベッドへと体を預けると窓の外に見えている月を眺める。 「なんだよ……嫉妬位してくれると思ったんだけどな」 「そこは、しゃーないって言っておるやんか……。 和也は友達でもあるし、昔は望の事好きやったんやろ? 確かに最初の頃は俺と望がくっつくのは認めてくれんかったようなんやけど……和也はさ、望の事、諦めてくれて、その後は色々と俺達の事、サポートしてくれたやんか……せやから、そこはしゃーないのかな? ってな……。 しかも、和也はちゃんとその事について謝ってもくれたしな……それに、二回目の時は、俺が望から逃げるような事をしたんやからな……だから、和也の事攻める気にはなれへんっていうんかな?」

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